🟥【「足りない」の前に、“問い直す”医療へ──病床も人も世界最多なのに、なぜ崩れる?】

 

ある現職議員のインタビューで、こんな趣旨の発言がありました。

「日本の医療がコロナで崩れたのは、病床が足りず、医療従事者も不足していたからだ」
「財政フレームが厳しすぎる、もっと予算を回すべきだ」

 

──でも、私はこの主張に対して、数字やエビデンスベースで医療を見つめてきた医師として、強く疑問を持っています。

 

❓そもそも「病床が足りない」って本当?

 

いいえ。日本の病床数は、OECD諸国中で世界最多級(韓国に次ぐ水準)です。人口1000人あたり約13床──これはフランスの2倍、アメリカの4倍を超えています。(

 

それでも「病床が足りない」と感じたのだとしたら、問題なのは“数”ではなく、使い方と制度設計ではないでしょうか?

 

コロナ禍で入院先が見つからなかったのも、高齢者施設の対応が追いつかなかったのも、医療資源を必要な場所に届ける“調整と判断の仕組み”が整っていなかったからです。

 

❓さらに「医療従事者が足りない」って本当?

 

医師数はOECD平均並*、看護師数は世界でもトップクラス。

それでも“人が足りない”と言われるのはなぜでしょうか?

それは、人が足りないのではなく、「偏在している」「活かされていない」からです。

 

都市に集中し、診療科に偏り(美容に偏在、”直美”問題など)、

本来はチームで担える医療が、いまだに医師一人の肩に過剰に乗っている現実があります。

 

さらに言えば──

問診・初期診断・生活指導・ケアマネジメントの多くは、

AIや心理士・看護師・管理栄養士など周辺職種で十分に担える時代になりつつあります。

 

それにもかかわらず「もっと医師を増やせ」という主張は、

医療AIの進展を無視した、時代錯誤の政策提案とすら言えるでしょう。

 

❓「もっと診療報酬を上げるべき」?

 

もちろん、経営が苦しい医療機関もあります。でも、その原因は「報酬が低いから」ではなく、“医療の価値”と“報酬の設計”がかみ合っていないことにあるのではないでしょうか?

 

たとえば──3分診療**を100人こなせばもうかる構造(=薬剤投与至上主義)は今も放置され、一方で、30分かけて患者の話をじっくり聴く診療には報酬がつかない。

 

これでは、私が理想とする「対話」や「予防」や「認知行動療法」などの非薬物的アプローチが育つはずがありません。

 

🧭これからの医療に必要なことは?

 

🔹“無価値医療”にメスを入れる視点

 

過剰検査、過剰投薬、過剰入院を温存したまま「もっとお金を」ではなく、医療の質と価値を根源的に問い直すことから始めるべきです。

 

🔹対話と支援を評価する制度改革

 

「治す」ことと同様に「支える」「寄り添う」にこそ報酬がつくべき時代です。“カウンセリング・傾聴・生活再構築支援”に対する評価軸を、いま真剣に作らなければいけません。

 

🔹人を増やすのではなく、“活かし合う”医療チーム体制へ

 

AI、心理士、管理栄養士、看護、介護、そして本人自身──

誰か一人が頑張るのではなく、「つながる医療」へ

役割を分担し、連携し、支え合う設計へ。

 

📝最後に

 

医療は、数や予算で語るだけでは変わりません。

 

本当に変えるには、私たち自身の“医療の見方”を、まず変えることからだと思っています。

そして、それを政治の場で反映させてこそ、根源的な改革が動き出す。

 

現場の経験と、冷静な分析と、命を守るという意志をもって──

私はこの選挙を戦います。

 

*日本 2.6人/1,000人(2021)でOECD平均3.7より低い

**3分診療:平均約6分、3分以下も少なくない。