🟥【世界最多のCT保有国──“安心のための検査”が“命を削る検査”になっていないか?】

 

今回は、日本の医療の「見えにくい影」について──

不都合な真実には”口が重くなる”メディアがあまり語らぬ問題を共有します。

 

🔬【CT大国・日本──その「大国」は本当に誇れるのか?】

 

日本はOECD加盟国の中で、CT装置の保有数も、使用件数も世界最多。それを「医療の充実や進歩」と見る向きもあります。

 

ですが──

それは果たして、「健康大国・日本」の証でしょうか。

むしろ「医療費充実大国」「検査依存大国」なのではないでしょうか?

 

📊 データから見えてくる現実

 

    •    CT保有台数(2020年):100万人あたり116台(米国は43台)

    •    CT実施件数(2020年):1,000人あたり283件(2008年比34%増)

    •    90歳以上の男性では、1,000人あたり1,182件= ほぼ全員が年1回以上撮影されている計算

    •    0~14歳の子どもでも、年間約30件/1,000人→ 放射線感受性が高いにもかかわらず、依然高水準

 

装置あたりの稼働件数は2,445件/年。つまりCTの在庫過剰でもあるわけです。

 

📸【“CT=安心”は幻想──見えないリスクと向き合う時】

 

*Uruma氏(Intern Med, 2025)の調査では、以下のような問題点が浮き彫りに。

 

🚨 現場に潜むリスク"

 

    1.    累積被ばく量が100mSv超えの患者が複数

 → がん発症リスクが明確に上昇するレベル

    2.    健診や介護施設での検査は保険データに反映されない

 → 実態が過小評価されている

    3.    線量管理システム(DMS)の整備遅れ

 → 日本は世界的にも後進的

    4.    医師の教育不足

 → 被ばく線量への知識・意識が乏しく、“なんとなく依頼”が横行

 

🧠【「念のため」の検査が、患者を危険に晒す】

 

現場でよくあるのが──

    •    「必要かわからないけど、一応撮っておく」

    •    「家族の希望もあるし、念のためCT」

    •    「医療訴訟が怖いから、保険的にCT」

 

こうした“依頼の乱用”が、無自覚な被ばく量の蓄積につながっています。

 

医療は本来──

📌 Justification(正当化)

📌 Optimization(最適化)

 

この2原則に従うべきもの。

 

CTは“撮れば安心”ではなく、

「本当に必要か」を、患者・医師の双方が丁寧に見極める時代へ

 

🌍【国際比較──世界はどう“線量”と向き合っているか?】

 

国・団体                          取り組み

🇪🇺 EU    2013年から線量記録義務化(EURATOM指令)、最適化の義務あり

🇺🇸 米国ACR    Dose Index Registry により、全国規模の線量ベンチマーク運用

🇯🇵 日本    2020年に日本版DRL(診断参照レベル)導入 → しかし実装は限定的

 

つまり、日本は今も「ルールはあるが、現場は守られていない」状態なのです。

 

📌【著者からの提言──このままでは“被ばく大国”になる】

 

Uruma氏は、以下の改善策を提案しています。

 

🔸 線量管理システム(DMS)の全国導入

🔸 紹介医への教育強化(初期研修+継続教育)

🔸 「正当化」ガイドラインの遵守徹底

🔸 放射線教育の義務化

 

💬【“デス検査”という言葉を使う日も近い】

 

私はこう呼ぶかもしれません。

「デス検査」──本来救うはずの検査が、命を削る側に回った瞬間。これからの医療に必要なのは、“なんでも検査する”医療ではなく、“必要な人に、必要なだけ、最小限の被ばくで”という視点。

 

命を守るための技術が、

無自覚なまま命を脅かす道具にならないように──

    •    「世界最多の装置数=世界最多の被ばく」

    •    「CTをやれば安心、の時代は終わった」

    •    「“正当化と最適化”こそが命を守るカギ」

    •    「患者ファーストの視点でこそ、医療は進化できる」

 

医師として、そして患者ファーストの立場で、

今、改めてこのテーマに光を当てたいと思います。

 

🧾参考文献:

*Uruma T. Intern Med. Advance Publication. 2025