【新・令和列島改造論・医療編】──「日本の医療構造改革」

 

日本の医療現場の医師やナースは「経済インセンティブの囚人」(一種の医療ビジネス)になっている。現行の医療制度は「薬や検査で稼ぐ」仕組みを前提としているため、医療従事者を責めるだけでは根本的な解決にならない。
彼らが自主的に改革に参加できる新たなシステム設計が必要だ。

 

🩺 なぜ日本では「薬と検査」が医療経済の主役なのか?

 

日本の診療報酬制度は「処置・薬・検査」に点数をつける出来高払い方式を採用している。
その一方で、カウンセリングや生活指導、人生会議(ACP:Advance Care Planning)*は、報酬がほぼ存在しない。予防医療も点数が低いため、医療機関は薬や検査を増やさなければ経営が成り立たない仕組みになっている。

 

🧭 海外の成功モデルと改革案

 

🟥 医療報酬の「価値」転換

 

【海外事例:英国・NHS(National Health Service)】

英国では予防や慢性疾患の管理、患者教育にインセンティブを与えるQOF(Quality and Outcomes Framework)を採用。医師は患者の健康指標改善や予防指導によって評価される仕組みだ。

 

日本での改革案:

 

医師による減薬指導、ACP実施に明確な加点

患者の健康改善(HbA1c、体重、睡眠スコア)に報酬を加えるヘルススコア制度の導入

 

🟩 稼ぎ方の多様化で医師・ナースを守る

 

【海外事例:フィンランド】

フィンランドの医療機関は病気の治療だけでなく、地域コミュニティの健康管理拠点として機能している。地域全体の健康を守ることが評価され、医療従事者は地域コミュニティの一員として社会的信用を得ている。

 

日本での改革案:

 

1. 予防医療アドバイザー制度の創設

 

減薬、栄養指導、CBD、運動療法などを評価する新資格(医療系有資格者に限る)を設け、ナースや保健師が活躍できる環境を整える。

 

2. オンライン医療指導の報酬加算

 

食事指導、サプリメントやCBDの相談、家族ケアをオンラインで提供する場合に加算を設定。

 

3. 病院を地域の健康拠点に再編

 

医師の役割を「治療者」から「地域健康コーディネーター」に転換。地域の健康向上に貢献した医師には特別な評価と報酬を与える。

 

🧠 ナラティブ(ストーリー)を転換する

 

医療の社会的評価を変えることも重要だ。検査や投薬の多い医師を優れた医師とする旧来の価値観から脱却し、「薬を出さずに健康を維持する医師こそ名医」という認識を広げる必要がある。

 

【海外事例:オランダ】

オランダでは患者との対話を重視し、薬や検査に頼らずに健康を管理する医療スタイルが広く普及している。社会全体がそれを「理想の医療」として認識し、支持している。

 

🌈 これからの旗印

 

🔸 「薬を出さない医療に、価値をつける時代へ」

🔸 「検査より対話。データより全人格的視点。」
🔸 「減薬・予防・ACP──“見えない医療”に価値を」

 

このようなナラティブを掲げ、日本の医療を予防・健康維持中心の新しいモデルへ転換することが求められている。

 

医療現場の人々が安心して改革に参加できるシステムを作り、医療を通じて本当に豊かな社会を再構築することが「列島改造論・医療編」の核心だ。


<脚注>
※1 人生会議(ACP: Advance Care Planning)

将来、本人が医療や介護について自ら判断できなくなった場合に備え、「どのような医療やケアを望むか」について、本人・家族・医療関係者が事前に繰り返し話し合いを行うプロセスのこと。厚生労働省は2018年より「人生会議」の愛称で普及を図っている。

日本ではまだ十分に浸透しておらず、ACPの実施率は低いが、延命治療のあり方や終末期医療の質に大きく関わるため、国際的には重要な医療倫理・意思決定支援の一環として制度化が進んでいる。

アメリカでは「POLST(医師指示による延命治療指示書)」制度と連携し、法律で文書化を義務づける州もある。カナダ・オーストラリアなどでも「代理意思決定者(Surrogate)」の明確化や学校教育への導入が進んでいる。

ACPは“死に方”を考えるのではなく、“生き方”を整えるための前向きな対話であり、高齢化が進む日本では、終末期医療の適正化と尊厳あるケアの実現に不可欠とされる。