🟨 全農株式会社化を阻止する意義ー食は医療の入り口。だからこそ、全農株式会社化の懸念には黙っていられない

 

医食同源。食は、間違いなく、体に優しい“一種の薬”であり、医療の入り口である。食と生活習慣が相まって、体を構成していく。私たちが口にするものが未来の健康をつくることを、私は日々の診療から痛感している。

 

だからこそ、今、静かに噂されてきている「全農の株式会社化」の動きには、どうしても目をつぶるわけにはいかない。

 

かつて“郵政民営化”の時には、多くの人が「便利になりそう」「経済が活性化する」と拍手を送った。しかしその結果、地方の郵便局は統廃合され、350兆円もの豊かな財政が外資に奪われ、地域の高齢者や小規模事業者の生活インフラが大きく揺らぎ、赤字も発生した。

 

今また、「急上昇中の農水大臣の人気」や「構造改革の美名」に隠れて、日本の農の基盤が切り崩されようとしている。それはまるで、あの悪夢のデジャブである。

 

🔸 1. 全農の協同組合形態は「日本の食を守る防波堤」

 

全農(全国農業協同組合連合会)は、全国の農家による協同組合組織であり、営利目的の株式会社とは異なる。最大の使命は、農業者の生活を支え、消費者に安全・安心な食料を安定供給することである。

 

特に全農は、非遺伝子組換え(非GMO)作物の契約栽培・分別流通(IPハンドリング)において、日本の要となってきた。この“ひと手間”を惜しまない姿勢こそが、学校給食(粗末な画像がアップされ続けているが)、病院食、生協商品など、生活の根幹を支えている。

 

🔸 2. 株式会社化がもたらす「買収の扉」

 

全農が株式会社化されれば、外資による株式取得・買収の可能性が現実のものとなる。

 

最大のリスクは、カーギルのようなグローバル穀物資本による経営支配である。カーギルは、効率性と規模の経済を重視した「GMO混載・大量輸送」型のビジネスモデルを基盤としており、日本市場向けに築かれた非GMO分別・トレーサビリティ重視の流通網は、コストの観点から削減・廃止されるリスクが極めて高い。

 

🔸 3. GMOと非GMOの境界が消える社会的リスク

 

カーギル型の経営に移行すれば、次のような事態が予想される:

・契約農家による非GMO作物の縮小

・港湾やサイロでのGMO混載リスク

・輸入後の検査の簡素化

・非GMO表示の有名無実化

 

これでは、消費者の「安全な食を選ぶ権利」が失われかねない。

 

🔸 4. 食料安全保障と「フードソブリンティ」の観点

 

日本は、穀物や飼料の多くを海外に依存している。

 

全農はこれまで、世界的穀物企業との直接交渉を通じて、価格や品質、安定供給を担保してきた。外資の支配下に入れば、この交渉力は著しく弱まり、日本が「世界で穀物を買えない国」になるリスクさえ浮上する。

 

これは単なる一企業の問題ではなく、国家の主権=食料主権(フードソブリンティ)の喪失を意味する。

 

🔸 5. 国内農業インフラへの破壊的影響

 

非GMO契約栽培に関わる農家、検査機関、物流会社など、多くの産業インフラが全農の品質基準に支えられてきた。

 

しかし、カーギル型モデルが導入されれば、効率性の名のもとにこれらのインフラが淘汰され、地方の農業や地域経済そのものが破壊されかねない。

 

🔶 結論:食の安心と主権を守るため、全農は(改革を前提として)協同組合のままであるべき

 

株式会社化は一見「経営の効率化」や「国際競争力強化」と語られるが、実態は日本の食と農を外資と市場原理に売り渡す第一歩である。

 

協同組合という非営利・公益性のある仕組みを守ることは、単なる組織防衛ではない。

 

それは、私たちが「何を食べ、どう生きるか」を自ら選び、次世代へと受け継いでいくための行為である。

 

ただし、今回の“コメ騒動”を通じて露呈した課題にはしっかりと向き合わねばならない:

・🟠 収穫年表示の義務化

・🟠 流通価格の自主決定権の尊重

・🟠 品質基準と評判対策の徹底

 

これらを是正しながら、グローバル資本から日本の農業と食卓を守る最前線の闘いとして、全農株式会社化は、絶対に食い止めるべきである。