🪙【プロローグ|それは“発表の数日前”に始まった】
旧来覇権国ノルム連邦──
かつて世界の金融を牛耳った超大国。
その威信の象徴こそ、ユニバーサル通貨「N」。
この通貨は、かつて「全地球的信認」を誇っていた。
だが今、この国のとある有力政治家(自称プロメテウス)が、
世界の経済秩序を根底から揺るがす“ある計画”を企てているという。
数日前、彼はこう語った。
「近いうちに、世界を揺るがすような重大な発表をする。
信じる者だけが、時代を超えられる」
さらに彼はこう続けた。
「貿易ではない。これは、ここ数年に発表されたあらゆるトピックの中で、最も重要なものになる。
米国と米国人にとって、本当に地球を揺るがすような“肯定的発展”だ。
発表は、数日以内に行われるだろう」
──内容は語られなかった。
ただ、その声には確信があり、
その沈黙には不気味な自信がにじんでいた。
ざわめくメディア、浮き足立つマーケット。
そして今──その「発表」は、現実となった。
それは、“プロメテウス”による新通貨構想だった。
名はこう呼ばれている。
「CICD──Central Issued Digital Currency(中央発行型デジ貨)」
またの名を、「DONALD COIN」
一部の経済専門家はすでにこう評している。
「これは、デジタル王国の建国宣言だ」と。
そして、物語は始まる── (過去の第一話につづく)
