ヘルシンキ経由での18時間もの長旅の末、足を踏み入れたプラハの地。旅の初日から「チェコ名物のビールスパを体験してみては?」という誘いに心惹かれ、思わず予定に加えることに。フランスで体験したワインスパ(正確に言うと、ワイン造りの工程を利用した葡萄スパ)を彷彿とさせる、30年間一人当たりのビール消費量世界一を誇るチェコならではの施設、それがビールスパだ。

 

<ビールコスメなるものも存在する>

 

場所はプラハの中心地にあるマジェスティックプラザホテルの地下の一角に設えられてた。Bernardビールで知られるこの地の醸造所が手掛けるスパは、市内に4店舗も展開されている。他メーカーのものも入れると市内にいくつもあるそうだ。これぞまさにビール愛の体現と言えるであろう。

 

<ビール樽のような作りのホットバス>

 

水着に着替え、いざ専用の部屋へ。

ビールそのものに浸かるわけではなく、ホップと酵母を特別なお湯で煮出したものに身を委ねる。驚くことに、飲み放題ビールジョッキがバスタブに設置されているではないか。ポーン
温泉フリーク、最近では温泉療法医としていろんなスパや温泉をめぐってはきたが、こんな豪勢な体験は初めてのことである。健康への影響など、野暮なことを考えるよりも、まずはそのホップな瞬間を楽しむことに専念することにしよう。

 

ビール酵母はビタミンB群が豊富で、消化と代謝を助けるとともに、ホップは肌を柔らかくし、皮膚病の予防にも効果的。ビールスパはただの娯楽ではなく、肝臓の健康や心血管系のサポートにも寄与する。

 

<この辺りですでに目の焦点があっていない>

 

25分の浸浴後は、体はビール酵母に包まれるようなじんわりした温かさで、自然と汗が滲み出る。その後のマッサージは更なるリラクゼーションをもたらし、ビールが内外から効いたかのように全身がほぐれた。

しかし、長旅の疲れとビールの酔いが手伝って、目が回る。酔っ払い楽しみにしていた夕食の約束はキャンセル。その夜はただひたすらに睡眠に身を任せることになる。

 

<直前までは、元気全開であった>

 

時差ボケもあってか真夜中に目が覚めたが、体はすっかり軽くなり心身共にリフレッシュ。肌は驚くほどスベスベに。ビールスパの不思議な力に感謝しつつ、次回はもっと体調を整えて挑みたいと思うことしきり。

 

ビール好きならずとも、一度は体験してみる価値あり!
チェコのビール文化を体全体で感じることができるビールスパ、それはまさにボヘミアンなラプソディそのものであった。