Q4 秋冬も油断できない紫外線……。より日焼けに弱いのは、男性?女性?
A. 男性
B. 女性
なんとゲスト解答者の皆さんたちは全員正解でした。地黒のイメージは男性だけど、果たして紫外線に強いと言えるの?あるいは日焼けから回復が早いイメージの女性が強いのかな? 正解はB男性。
科学的に説明します。普段あまり日があたらない腕内側の皮膚に現れる赤み=最小紅斑線量(MED)を20代男女で比較した24時間データには、明らかな有意差がありました。
積算光量(mJ/cm2)の値は、男性の111に対し、女性は
143。積算光量(mJ/cm2)=UV照度×照射時間ですから、男性の方が少ない線量で肌が反応する=「紫外線の感受性が高くて影響を受けやすい」という結論になります。
一般的に日焼け止め製品を使用する習慣が男性は極めて低いことから、紫外線の慢性的な障害である日光角化症や老人性色素斑、さらには皮膚癌の発症率も男性が高くなっています。
皮脂は女性より2倍以上多いといっても角質水分量が低いので、皮膚の健康を保持するために、UVカットをはじめとしたスキンケアの習慣づけをお勧めします。劣化した皮脂に含まれる脂肪酸が肌荒れの原因になり、連日の髭剃りの習慣もこれを加速化しています。正しい洗顔と洗顔後の保湿の実施率も低いのは感心しません。最近のメンズ美容流行が福音となることを願っています。
Q5 日焼け止めクリームを購入する際に、紫外線防止効果の目安となるSPFとPAの表記ですが、秋冬の日常生活での使用に適切なのは、次のうちどれでしょう?
A. SPF 50 PA++++
B. SPF 30 PA++
C. SPF 15 PA+
SPFとPAの指標についてご説明します。SPFは、肌の炎症を引き起こし、後々のシミの因となるUVAとUVBの防止効果(*)を示すものです。PAは、真皮まで届き肌のシワタルミなどの老化を引き起こすUVAの防止効果の指標です。
例えばSPF 15 とはどういう意味なのでしょう? それは、クリームを使わない場合に比べると、肌の反応が15倍遅くなるということです。例えば太陽光20分で肌が赤くなる人がいたら、15倍である300分=5時間ほど肌を守ってくれる効果があるというイメージ。
———正解はCの SPF15 PA+です。
どうして? 強ければ強い方がいいと思われるかもしれませんが、常にトップギアで戦闘態勢にあるよりも、そうでない方が肌にとっては(負担にならないで)いいのです。状況に合わせた適切な日焼け止めクリームを選ぶことが大切と言えます。散歩や買い物程度の日常生活ではSPF 15(**)、屋外の軽いスポーツはSPF 30、炎天下のレジャーやスキーではSPF 50くらいが目安です。
さらに塗布の量も問題です。SPFもPAも、2mg/cm2でのデータなので、顔面全面でだいたい0.8g、パール2個分くらい必要なイメージですが、多くの方が必要量塗っていないというのが現状のようです。
(*) 2019年に日本化粧品工業連合会SPF測定は以下に改定されました。「太陽光線により誘発される紅斑から人の皮膚を防御する日焼け止め製品の効果評価方法の基本を提供する」。よって、現在では、UVBのみならず「紫外線(UVA+UVB)により誘発される紅斑の防止効果」となります。(**)
日本香粧品学会「サンスクリーン製品の新規効能表現に関するガイドライン」より。光老化啓発プロジェクト
HP
もご参考にどうぞ。
https://www.hikari-rouka.org/
さて、ここでとっておきのお知らせがあります。
「クリームはベタベタするので、塗りづらい」。よく耳にします。私も手のひらのクリームを最後に拭き取ったり洗ったりする際に「もったいないなぁ」と感じてきました。そこで効率的でコスパのいい画期的な方法を、こっそりご伝授いたします。
———タイトルは「M式塗布法」
です!
https://www.youtube.com/watch?v=obpHTVQWV64&t=10s
① クリームを手の甲に出し、軽く塗り広げる。
② 腕をM字に曲げて、筋肉の流れに沿って塗る。
③ 顔の中心から外側に向かって伸ばしていく。
④ 地面からの反射光にも注意し、あご下も忘れずに。
⑤ レリケートな瞼と目のキワはこすらず優しく塗る。
⑥ 塗り忘れが多い耳は、特に日がよく当たるので要注意。
⑦ 首筋は後ろから前へ塗る。
(*)パール1個分から始め、途中同量を2〜3回追加して塗ってください。
テレビの限られた時間ではご説明できなかったことを3回に分け、追加解説してみました。知識は一生の宝。スキンケアマイスター等にご興味持たれた方は、日本コスメテック協会
のHPにぜひアクセスしてみてください。ありがとうございました。