First Step 漢方、パリでの漢方(第4回)

 

        在仏日本大使館医務官 間宮規章先生

 

第4回目です。会長の谷村玲実先生、名誉会長の松下フユ先生に土台を作って頂き、それを私がリライトしたものになります。

 

10八味地黄丸 地黄、山茱萸、 山薬、 茯苓、沢瀉、牡丹皮、 桂皮、 附子)

 

適応症状・疾患:疲労、倦怠感が著しい、腰の痛み、尿量の異常(一回の尿の量が少ない、多尿)。下肢の浮腫、 足の裏や体のほてり、下肢の強い冷え、口の渇き、腎炎、糖尿病、坐骨神経痛、腰痛、脚気、前立腺肥大、高血圧、膀胱炎。

 

味地黄丸は腎虚治療の代表処方

八味地黄丸は腎虚の者に効果があります。腎虚・・・漢方における腎とは?

五臓六腑の肝・心・脾・肺・のひとつ。

1.成長・発育・生殖能を司る

2.骨・歯牙の形成と維持にあずかる

3.水分代謝を調整する

4.呼吸能を維持する

5.思考力、判断力、集中力を保持する

 

「腎」:漢方では水分代謝を行い、成長と生殖を担当する機能単位のことをいう。耳、骨、歯の機能を維持するのも「腎」である。

 

腎虚とは 腎臓、泌尿・生殖器などを調節する機能を含めた働きが低下するということである

 

腎虚により起こり得る諸症状は:脱毛、白髪、難聴、耳鳴り、認知症、情動失禁、

睡眠障害、易感染性、皮膚の乾燥、かゆみ、腰痛、骨粗鬆症、排尿障害、失禁

夜間頻尿、勢力減退、下肢の冷え、だるさ。

 

腎虚の診断 腹診

小腹不仁 (しょうふくふじん):

小腹:おへそから下のお腹。不仁:不愉快 痛い。

下腹部正中に腹壁の緊張低下があり、これを指の幅程度の縦の溝状に触れる

検者の指先を被検者の下腹正中に置き、皮膚に垂直方向から圧迫すると、指先が皮下に抵抗なく入り込むような感覚がある。臍下不仁ともいう。

触診上 溝上に筋緊張低下がみられる


 

正中芯(せいちゅうしん):

腹壁正中部の皮下に、鉛筆の芯のような索状物を触れるものをいう。解剖学的には白線に相当する。指先で軽く圧迫しながら左右に芯をころがすようなつもりで、正中部の皮下を探るように触診する。臍から恥骨結合の間にある時は“腎虚”あるいは“下焦の虚”と考える。



 

豆知識:カタカナ漢

 

大鵬製薬 2001
八味地黄丸と同じ構成生薬
・・抽出法は異な



 

19912020年 ナンパオ 田辺三菱の滋養強壮漢方(=八味地黄丸がベース

ちなみにナンパオ・漢字にすると男宝=精力剤



 

防風通聖散防風 黄ごん 大黄 芒硝 麻黄 石膏 白朮 荊芥 
連翹 桔梗 山梔子 芍薬 当帰 川きゅう 薄荷 
滑石 生姜 甘草)

診断のポイント:肥満(食毒)、硬い太鼓腹、便秘、のぼせ症状。腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな人の次の諸症。高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘。

 

1980年代 コッコアポ  クラシェ(旧カネボウ)の痩せ薬

1990年代 コッコアポA  ダイエットブーム・CMで一般化(=防風通聖散

2010年代以降 シリーズ拡充 防風通聖散の他、大柴胡湯、防已黄耆湯


 

ナイシトール 小林製薬 (=防風通聖散

ナイシトールZa満量処方に相当

体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな人の次の諸症

· 肥満症

· 高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘

· 蓄膿症(副鼻腔炎)

· 湿疹・皮ふ炎

· ふきでもの(にきび)

イメージとして「体力のある腹部肥満タイプで、便秘がちな人」

      (女性 内蔵脂肪ではなく皮下脂肪の代謝)


              (最終回につづく)