パリに住んでいた2017年の初頭、カンナビジオール(CannabidiolCBD)に出逢いました。CBDは麻のもつ成分のひとつですが、スーパー情報通の美容仲間がこっそり教えてくれたのです。「ほとんどの人がまだ気づいていないのだけど、この成分は近い将来ゲーム・チェンジャーになりそうよ」と。宝物めいて受け取った少量のサンプルを、火傷や皮膚炎に使ってみたら奇蹟でした! 皮膚科的表現では“ミディアムグレードのステロイド軟膏のごとし”だったのです。

かつて、母に「どうしてマナは麻奈って書くの」と尋ねたことがありました。マは麻だけじゃなく真・茉・愛・摩とかもあります。だからどうして? 「麻は丈夫な草なの。どこにだって根付いて天に向かってスーッと伸びるのよ」。東北地方では麻の葉模様の産着を着せて、赤ちゃんの元気な発育を願う風習もあったそうです。そして「なんといっても、麻は人の役に立つのよ」。

「エッ」。そう言われても、どこにでも生えているはずの麻畑なのに、見たことがありません。それどころか大麻不法所持で逮捕、厚生省麻薬取締官略称麻取とか。思いっきりブラックイメージです。学生時代は「麻雀の麻」「麻婆豆腐の麻」と称して自虐ネタ。医局入局の際には「麻薬で奈落に堕ちると書いて麻奈と言います」と自己紹介してウケました。

とは言いつつも、ダメなのものはダメです。大麻不法所持で逮捕、大麻解禁を主張する。そういったタレントさんたちのタイプは好きになれません。優等生タイプを引きずる意味のなさも残っています。私にとって名前に掠っているとはいえ、麻は袖触れ合う縁すらないものでした。

すると、パリでのファーストインパクトが醒めやらないうちに、新しいドクターコスメの成分でCBDの提案を受けました。愛縁奇縁かと、疼痛や不眠に効くというCBDオイルを自分や家族に試してみました。吃驚でした! 頭痛・関節痛・不眠に効くだけではなく、ナント「解決法のない悩みが脳内をぐるぐる回る」現象が雲散霧消したのです。


 「これはしっかり勉強せなアカン」と海外の論文を読み漁りました。またまたのオドロキ連発となりました。豊潤にして深淵。植物と動物の接する地点。人間が生まれる遥か昔からの悠久な物語。そうしたものが眼前に展開されて広がっていきました――それこそが「なぜ、麻の成分が我々の体に効くのか」の答えになっているのですが。

 さらにCBDは、日本では使用禁止になっている、ハイで高揚感が得られる、もう一つの麻の成分THC(テトラヒドロカンナビジオール : Tetrahydrocannabiol)の諫め役のような存在ともなってます。

麻奈という名をもった私が、こんなとっておきの麻に関わる物質に巡り合ったのは天啓かもしれない、そんなことさえ感じるようになってきました。ご興味をもたれましたか?