44日は二十四節気の晴明でした。春分から15日、清浄明潔にして万物に清新の気が みなぎる季節となりました。一方、韓国の寒食(ハンシク)は冬至から105日、今年は45日でした。それぞれの由来は違いますが、ほぼ同時期でどちらも先祖の墓参をします。冬の間に荒れた墓地の清掃と整備が大仕事。そんなことから、英語表現では墓掃除の日(Ancsters Day)とも言うそうです。

 

 日本の墓参行事は春秋の彼岸にお盆と暮ですね。同じ漢字文化圏ではありますが、先祖崇拝への仏教と儒教とのスタンスの違いなのでしょう。秋の墓参、韓国では旧暦815日の秋夕(チュソク)に寒食より盛大に行います。中華圏では旧暦99日、重陽の月に故郷や懐かしい人を偲ぶ風習が残っていると聞きます。

 

 中国では、地方によって異なりますが、清明の前後に踏青という行事も行います。萌え出ずる青い草を踏みしめて春を感じる、その後で宴会もやるのでしょうね。日本人の「花見て一杯」は独特です。梅も躑躅も秋の七草も、いくら綺麗に咲き誇っても、日本人はただボーッと眺めるばかりです。だがだけは別。観察していると、なぜか俄然お酒を飲みたくなるみたいです。去年も今年もCoronavirusによって、花見の宴は吹っ飛びました。奪われた機会の空白が、日本人の心性にどう影響するか案じられます。





武雄神社。





御船山楽園。

 

 もっとも日本では清明だからとか思う前に、花咲き鳥歌うの月光値千金。絶好の季節となりました。都会の片隅の夜から追放されたのなら、野に山に自然が招いています。

 

 二十四番花信風というのをご存じでしょうか? 冬本番の寒の入りの小寒から惜春望夏の立夏までの間にある二十四節気の八つ――小寒・大寒・立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨。それぞれの本朝七十二候ごとに、季節を告げる花が咲き、花の香を乗せて風が吹きます。春が目覚めて早春・仲春・晩春の三春に吹く風だけが「二十四番花信風」です。

その掉尾の六つの花だよりの風をご紹介します。

清明 44

初候…桐始華  桐の花が開く。     風告げる花 桐

次候…田鼠化鶉 ツチネズミからウズラへ。風告げる花 麦

末候…虹始見  雨後に虹かかる。    花告げる花 柳

穀雨 419

初候…萍始生   水面に浮き草生ず。  風告げる花 牡丹

次候…鳴鳩払其羽 斑鳩(イカル)羽を払う。   風告げる花 荼靡(ドビ)

末候…戴勝降于桑 ホトトギス桑に蚕を産む。 風告げる花  栴檀(センダン)

立夏 55

 

 春も夏も、これからですね♪