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プノンペンで、コーリアンファッションブティックの店長 をしている、チャーミングなヴィヴィアンさんと。

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 日仏の教育制度と子育ての違いに興味をもって書いた『人生に消しゴムを使わない生き方』 (日本経済新聞出版社2017)が韓国での出版の機会に恵まれました。「私ごとき門外漢の本がどうして?」と思いました。

世界中でもかなりユニークなフランスの教育制度が、韓国でも大きな関心がもたれているからと聞きました。さすが大学進学率90%(日本は55%)の国、教育となると熱があがるのでしょうか。儒教の伝統でまだ女性の地位が貶められているとか、世の中の強い社会的同調圧力に悩んでいるなど、日本と似ているところも多いからなのでしょうか。

 

――私たちも鉛筆と消しゴムを使って勉強してきました。日本とは教育理念や制度が瓜二つのように似ています。近代が西洋化することだった日本が、韓国にそのまま移植した過去がまだ残っているからなのでしょうか。

 

――十人一色の日本や韓国に対して十人十色のフランス。多様性国家での教育や子育ては非常に興味があります。

 

――韓国の社会はまだ男尊女卑で、女性の活躍する場所も与えられていないのが現状です。そういったところでは日本と共通しています。ジェンダーギャップもひどいもので、トップだけでなく女性管理職も際立って少ないと感じます。

 

こういった意見を耳にしました。

 そうか。そうですよね。「もっと知りたい!」と、韓国通の友人や韓国の知人にも色んな疑問をぶつけて、今ある韓国を聞いてまいりました。

 

――韓国人をやっかみ半分で“アジアのラテン民族”というのよ。男と女のベタつきかたばフランス人やイタリア人と変わらないし、新婚家庭に行くと玄関に畳一枚ほどの大きな結婚写真とかあって目も当てられないわ。若い人がダブルベッドなのはしょうがないけど、昔から夫婦は死ぬまで一つ布団(ダブルブトン)で寝るんだって!

 

――夫婦や恋人の間のケンカ、けっこう派手ですね。口論では互いに後に引きませんし、ダイコンくらいは放り投げますよ。だからとは言いませんが、仲直りも速攻でラブラブに戻るのも超特急みたい❤︎

 これはいいですね。「気配を察しろ」とか「空気を読め」とかじゃありません。きっちり言葉を闘わせるコミュニケーション、初めに言ありき――だからこそ人間ですね。これと違って、女らしく親と夫と子に従って慎ましやかでおとなしい生涯を終える、誉れの女性は見事にわが日本に収束してしまったようです。

 

 日本でも有名になった韓流ドラマは――料理人から宮廷医官となって医食同源を体現した『チャングムの誓い』(2004-05)、妓生ながら美貌と才能で芸能史を飾った『ファン・ジニ』(2008-09)、数奇な運命を生き抜いた正義の弁護人の『オクニョ運命の女;2017-18(2017-18)――先駆的役割を果たした女性が主人公となっています。美しく勇敢で才能ある女性たちへの待望感は日本より韓国が熱っぽいようです。柳寛順(1904-20)を忘れてはいけません。彼女は100年前の三一独立運動において「民衆を導く自由の女神」となり若き命を散らしました。ソウルのタプコル公園にレリーフがあります。

 

昨年、ハリウッドから吹き始めたセクハラ糾弾の嵐#MeTooは、全アメリカからヨーロッパに飛び火して世界を席巻しました。アジアではどこが口火を切るかと固唾を飲んでいたら、韓国の女性検事の内部告発から、まさに燎原の火のごとく激烈に事態が進行していったのです。アジアの先進国ニッポンは「大和撫子はそんな恥知らずなことしないわ」と静観していました。それでこそ“Tokyo 2020 ”かもしれません?

 

豊穣の“愛と美しさ”に溢れる未来を先に手繰り寄せるのは、どの国になるのでしょう?お互いにがんばって、できればご一緒に差別も偏見もない世の中に到達したものですね。

ジン消しがメッセンジャーになってくれれば、私にとってこれにすぐる幸せはありません。

 

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