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 蜜流れる南の国で見るTV局、最近はアメリカのCNNよりイギリスのBBCの頻度が高くなりました。75年前の66 (D-Day) 、連合軍がノルマンディに上陸して西部戦線が形成されました。英語では25をふつうa quarterというので、75周年記念日は“Three Quarters (century) Anniversary”でもありますね。BBCの画面では出港と入港――イギリスのポーツマスからフランスのコルヴィル=シュル=メールまで――の式典をライブで中継しています。

勝利した連合国が堂々と胸を張るのは当たり前で、敗戦国の決まり悪さもしようがありません。日本が必ず負けるとわかっている戦争を始めた理由の一つが「やってみなきゃわからない」無鉄砲だけでなく「ドイツが勝つと思い込んでいた」無知無学の結果です。桶屋が風の吹くことだけを祈っていても儲けることはありません。

無知といえば、国賓として訪英中の大統領ドナルド・トランプ氏はバッキンガム宮殿主催のセレモニーに参加していました。その同時刻、ロンドンの街中は25万人とも言われる反トランプ抗議デモで騒然でした。「なんだ、トランプは11歳の子どもだったのか」とからかった、トランプ・ベイビーという風船も跳んでます。ドナルド氏は例のごとく「反トランプの大規模デモなんて、フェイクニュース」だと腹を立て吼えています。

戦後日本を「統治」したGHQの最高司令官ダグラス・マッカーサーは、解任されて帰米した後の5153日に上院軍事外交委員会における証言で、「日本人はまだ12歳の少年だ(like a boy of twelve)」と述べました。トランプ・ベイビーの11歳よりはましなのか、同じようなものなのか? それとも68年経ったから、日本人は80歳となって免許を返納させられるのか。考えさせられますね。

外から眺めていると、イギリスはブレグジットでぐちゃぐちゃになりつつあるように思えます。それでも、国賓であろうがなかろうが、理不尽は理不尽であり、嫌いなものは嫌いであることを断乎として主張する。反トランプデモに席巻されるロンドンの風景には、イギリス人の気概とウィットを感じます。それを見て見ぬふりをせず、しっかりと報道するメディアの骨太さも、どっかとは大違いです。

 4月から5月の2か月間、「平成最後」と「令和初」の狂騒曲に振り回されました。TV局はどこも一辺倒、どこを切っても同じ金太郎飴。いったい何がおめでたかったのだろうと、不思議な感慨に耽る昨今です。 

 おもてなしとなったら、もうシャカリキです。列島の津々浦々まで歓迎一色となってしまいます。みんなドナルドが好きなのかしら?――これは怖い。そんなことはない、みんな仲良く足並み揃えての精神が隅々まで行き届いているのですね。

日本人とアングロサクソンの人々、いったいどっちが大人なんでしょう?