『パリジェンヌより綺麗になる!』 でお世話になった西村書店さんですが、元々医学関連に強い出版社です。先日、こんな興味深い本を見つけました。

 

『カラー生物・生命科学大図鑑』


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 実際にアメリカで使われている生物の教科書の翻訳版です。しかも968ページ、オールカラー。イラスト、写真、表がふんだんに使われ、非常にわかりやすいんです。サイエンティストの端くれとして、また最新の生物学の集大成をキャッチアップするために実際に読んでみることにしました。


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 こちらはヒトの生物学と健康の項目の中の“皮膚”の項ですが、コスメのSPF値について書いてあります。最初にSPFの定義を教えるのではなく、データ分析から導き出すようになっております。ふむふむ。


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 そしてこちらが圧巻。“絹の秘密”の項では紀元前2500年以上前の中国における蚕(シルクワーム)発見の伝説に始まり、生物の教科書ですから当然蚕の生態(変態)について書かれておりますが、それより目が引かれたのは続く“シルクロード”の項での“問い”でした。

 

 

 【やってみよう】(以下抜粋)

 

★あなたが敦煌とカシュガルを往復する商人だとします。絹、毛皮、シナモンをカシュガルに運び、金、ニンニク、ガラス製品と交換します。

 

旅のルートを計画し、ガイドを一人雇ってください。なぜそのルートにしたのかの理由も一緒に。

 

連れていく動物と選ぶ商品のリストを作ってください。

 

あなたのキャラバンを先導するガイドの求人広告を作ってください。

 
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こちらは現代遺伝学の項で、ヒトの遺伝病について解説しております。

 

 【科学的に書こう】では、こんな感じです。


★一般の人に遺伝病についての情報を提供するホームページを立ち上げることを想像してください。遺伝病を一つ選び、ホームページにのせる記事を描いてみましょう。

 

 どうでしょうか。わたくしは以前『人生に消しゴムを使わない生き方』という本で、簡易なマルバツや穴埋め問題ではなく、答えを白紙に論理的に書いていく重要性について(多くは訓練、慣れで培われる)指摘したことがございます。まさにアメリカでは白紙に答えを書いていく術(わざ)を科の領域を超え体系的に学んでいるのだ、というのを確認した次第です。

 グローバルスタンダードを牽引するアメリカの教育、こちらで垣間見ることができます。ついでに知識の整理にもなりますよ。学生にも、親世代にも、そして教育者にも超オススメです!

 

『カラー生物・生命科学大図鑑』