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アジアモンスーンはマダガスカル沖に発生し、大陸の南縁に沿って北上し日本に到ります。山笑ふ春から山滴る夏へ、もうじき梅雨入りですね。

 

 南の蜜流れる国ではすでにスコールの季節に突入しております。午後から夕方にかけて、不穏な風が頬をかすめると、ヤツはやってきます。時に雷さままで引き連れて、ゲリラ豪雨の親玉みたいなヤツが毎日訪問してくるのです。けれど長居はできないようで、灼熱の太陽は猛烈な勢いで後始末を始めます。


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 シトシトと降り続ける日本の梅雨はその点、心にも沁みやすい。日本語には、情緒的な雨の表現が大変に多いというのもうなづけます。この慈雨は山を滴らせ、稲の花は稲妻と媾って収穫の秋をもたらします。

 

 温暖多湿、じっとりとまとわりつく湿潤。風土はこの国の人々の性格をも形づくりました。滑らかで吸い付くような、みずみずしく色気ある肌をも一緒に。