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 私は自他ともに許すフランス贔屓です。おかげさまでフランス紹介の本も書くことができました。フランス文化とは何かと訊かれたら、美と恋愛をもっとも尊重する気持ちでしょう。フランスの景色は彩り豊かで、空気が透き通っていたように思えたのです。ことにパリは移動祝祭日という表現がふさわしい街でした。

 アメリカの作家アーネスト・ヘミングウェーは『移動祝祭日』のなかで、

「もしきみが幸運にも青年時代にパリに住んだとすれば、きみが残りの人生をどこで過そうとも、パリはきみについてまわる。なぜならパリは移動祝祭日だからだ。」

エッセイの後記参照 )と述べています。
 青年時代をパリに過ごしたわけではなくとも、私にもパリはついてまわります。いま、日本からもフランスからも距離をおいた場所で生活するようになって、世界が今までとは違った色彩で見えてきました。それでもパリはついてきます、部分的な色彩が淡くなろうとも、彩りの記憶は鮮やかなままなのです。

 

 そんな私が物議を醸し出した米仏セクハラ騒動について、パリ現地取材もしつつ少し考えてみました。つづきはこちらでどうぞ→