フライトがウィーンに着陸してほどなく、機内にはヨハン・シュトラウスの美しき青きドナウが流れ始めました。舞踏会でロンドを踊る人々の豪奢で古風なイメージ……
他のクラシックでは滅多に感じることがない微妙な“ナツメロ感”。
なんともメランコリックな気分になってしまうのです。
オーストリアが血縁関係を駆使してヨーロッパ大陸を制覇した時代があった。そしてハプスブルグ家の終焉をもってヨーロッパの栄華も終わったのだと。
けれど、久々に出張で訪れた現代のウィーンは、世紀末の頽廃を裏返したような、すきっとクールで祝祭的な都市でした。
ランドマークのシュテファン大聖堂。ウィーン一番のパワースポットとも云われますが、聖堂や教会は、それぞれの街区の最も気のよい場所に建てられる訳ですから、当然といえば当然のことかもしれません。それにしても、数多の彫像には瞠目です。
ウィーン名物料理、シュニッツェル。お肉をたたいてたたいてべろ~んとのばしてカラリと揚げたもの。八重洲地下のカミカツとはちょっと趣を異にします。
どんなにスケジュールが詰まっていてもここだけは立ち寄りたかったのが、美術史美術館。
称名のとおり、「美術史」そのものが人類の「作品」であることを明証するようなスケール。ハプスブルグ王朝の壮大なコレクションに拮抗する豪華絢爛な内装。はたして、予算には糸目を付けなかった、あるいは「予算」などという考え方など予め超越されていた?
ルーベンスの垂涎ものの傑作が一同に。「聖母被昇天」
旧約的世界の破たんを描いたブリューゲル「バベルの塔」。パティニールという執拗な描写の隅々にまで見入ってしまいます。
フェルメール「画家とモデル」。こちらもどこかで見たことのある輻輳的モチーフの傑作。
ラファエロ「草原の聖母」の、溜息がでるほど美しいマリアさま。
パルミジャニーノ「弓をけずるアモール」書物を踏んで、どこか涜神的だけれど、ほっとけないくらいに可愛い、いたずらっこの瞳をもった天使。
ラヴェルの“亡き王女のためのパヴァーヌ”♪のイメージでは、青いドレスをお召になった王女でしたの。
オラツィオ・ジェンティレスキ「悔悛のマグダラのマリア」。マグダラのマリア
フリークのわたくしは、荒涼とした背景から匂い立つ、そのセンシュアリティにただただ感激。
ティツィアーノの「マルス、ヴィーナスとキューピット」こちらのポーズがなんともセンシュアル(官能的)。
王宮庭園のモーツアルトの像&キョロで締めくくり~♪
ダンケシェーン!