洞窟、絶壁、廃墟マニアには垂涎もの。
私も数々の廃墟巡りをしてまいりましたが、スケールの大きさでは圧倒的。それがこちら、“マテーラ”。長靴の靴底近く、南イタリアの紺碧の空の色と対照的な、寂寥うつうつとした、セピア色の美しい洞窟住居群です。中央に見えるのがキョロ（・◇・）……じゃなくて、グラヴィーナ渓谷。
この独特の住居はサッシ（岩壁）といわれる石灰岩でできており、有史以前、新石器時代からの長い歴史があるのだとか。近年は貧困の農民達が住みつき、南イタリアの“ミゼラブル”の象徴となりました。第２次大戦後は衛生面の問題などから多くの住民が退去させられ、廃墟と化したそうです。1993年には世界遺産に指定され、映画『パッション』のロケ地にもなり、観光客も増え（とはいってもお隣りのアルベロベッロに比べればまだまだ知名度が低いのですが）、また徐々に人が戻ってきました。
セピア色の背景にはキョロちゃんの色が映えます。
ふむ。確かに鮮やかな色が映える。
洞窟教会のサンタ・マリーア・デ・イドゥリス(S. Maria de Idris)です。一見おどろおどろしい外観にひるみますが、内部は静謐な祈りの空間で、心地よい“気”が満ちていました。やはり信仰の場は違います。
この朽ち果て具合がたまりません。懐中電灯に長靴という廃墟探検装備をしていたら、即行動にうつすのですが……。
ご想像通り、夜の帳が降りてからの街の灯がまた喩えようもなく幻想的です。
異界へと続く階段。
タナトスに魅入られたサンクチュアリ。この世のものとは思えない妖しさです。
そして再生の予感♪