$岩本麻奈 オフィシャルブログ 『はだぢから開発室・分室』 Powered by Ameba-VitD
魚食ならイタリアン~^^

いつもなら“スーパーごきげん”なお天気に恵まれるパリの6月なのですが、今年に限ってはどうも“梅雨入り”したようで、まさに「曇天どんてんドンテン……」な感じ。ジューン・ブライドじゃなくて、ジューン・ブラインド。これじゃ冬季うつ病どころか夏季うつ病の患者が増えるのではないかしら、なんて思っておりました。

そんなタイミングで、日本人の知人からこんなお話を聞きました。

「この前ね、なんか疲れやすくてだるくて、ジェネラリスト(総合家庭医)のところにいって診てもらったの。そうしたらビタミンD値が相当低いらしくって、今アンプル飲んでいるのよ」

ビタミンDといえば、骨粗鬆症と転倒予防、最近では免疫系の賦活作用や癌予防の関連なども示唆されているビタミンです。なんでもそのドクターによれば、在パリ日本人はビタミンD不足が多いので問題になっている、とのこと。なんといっても年間日照時間が7~8割を超えるお天道様の国のDNA。それに魚を食べる機会も、パリに住む以前には今よりたくさんあったはずです。それに加えてパリの最近の日照時間の少なさに、さらに1日中屋内で仕事などしていたら、ビタミンD不足になっても不思議ではありません。

フランスでは一般的に、体内のビタミンD量の指標となる5ヒドロキシビタミンDの血中濃度は30ng/ml以上を理想としているようですが、実際に計測するとその数値に達してる人はあまりおらず、10~20ng/ml台であることが多いようです。

この現象は、もしかしたら過度の美白美肌信仰から極端な重装備によるUVカットが当たり前となった日本でも同じことなのでは? と思って調べましたら、ビタミンDが保険の検査項目になく、今のところあまり問題視されていないようです(妊娠中にビタミンD不足になりがちになることや母乳栄養児のビタミンD不足は認識されてきているようですが)。

推奨摂取基準が5μg(200IU)/日で、実際の摂取量は平均して7~8μg/日ということなので、きっと“国民的にたりている”という判断なのかもしれません。血中濃度は差があって、10~32ng/ml程度。確かにビタミンDが豊富なしらす、焼き鮭、いわし、シイタケ、きのことかも、よく食卓にのぼりますものね。

ちなみにサプリ大国アメリカではこの数年、ビタミンD関連の研究発表が続々となされているようです。興味深いのは、癌発生率などや免疫に関する複合作用や因果関係。世界的指標の5~10倍の摂取を賞賛する研究もありますが、否定的な見解もあるので、ここはひとまず冷静にその後のデータを待ってから検証したいと思います。

いずれにしてもポイントは、週に2回の数十分の日光浴(特にUVB波)で、食糧として摂取するより遥かに効率よくビタミンD生成ができてしまう点ですね。もともと黄色人種は白色人種よりメラニンで守られているので、皮膚癌の発生率も低いわけですし、これは利用するしかないでしょう。同時に、メラトニンなどのホルモン調子が整い、深い睡眠が得られ、うつ気分も吹っ飛びますので一石何鳥にもなります。

というわけで、最近調子が悪い、気分もすぐれない、という在仏の皆様。そうしたことを念頭に入れて食生活を見直し、体調管理なさるとよいかと思います。ひどくなる前にお医者さんに相談しましょう。サプリによるビタミンD過剰内服には問題があるので、どうか個人判断はなさらずに。

最後に少々。私の紫外線に関するスタンスは、以前から一貫して同じです。夏に適度な日焼けをするのは自然の理にかなっていると考えます。顔と首はしっかりUVカットしますが、手足は基本露出して歩きます。どんなに美肌でも、骨折の危険を抱えつつ鬱鬱とした気分で“日陰を歩く”人生より、適度にエイジングしても丈夫で明るく“陽の当たる”人生を選びたいですから。