$岩本麻奈 オフィシャルブログ 『はだぢから開発室・分室』 Powered by Ameba-honmadekka

先日、在フランス保健専門医療家ネットワークの例会で、Hopital Henri Mondor で臨床研修中の整形外科医、本間康弘先生と岸孝章先生の講演を拝聴しました。

写真の向かって左が本間先生、右が岸先生。御覧のようにイケメン・ドクターズです。そのお話の内容、実に『知っていると知らないとでは人生が変わる、かも。特に在仏の皆様』級でしたので、御本人の許可をいただいて、一部をここに掲載させていただきます。

その1:日本とフランスの整形外科の大きな違いとは?

日本の整形外科では、『手術療法』と、薬や注射、生活指導やリハビリの管理などの『保存療法』の両方を範囲とします。ところがフランスの整形外科は手術療法が主となり、保存療法はリウマチ科(いわば整形内科? みたいなものです)の医師が受け持ちます。

実はこれ、私も身に覚えがあります。『Osgood-Schlatter disease(通称、オスグッド病)』といって、成長期の男子に多く、主に膝の痛みを伴い、脛骨部がでっぱってくる病気があります。ちょうど次男が中学生の時分にそれになって、パリの某有名病院の整形外科を受診させたことがありました。もちろん診断は「X-rayで骨の破片が食い込む可能性があるから」と、すぐに“手術”を勧められました。けれど、この症状は“経過観察”でほとんどがよくなるもの、と以前きいていたことがありましたので、とにかく安静にさせるからしばらく様子を見させて欲しい、と丁重に手術を断った経緯があるのです。そして幸せなことに、息子の膝は自然治癒しました。

2:日本で診察を受けた方がいい病態とは?

ふたつあります。首周りの不具合と青年期の股関節の問題です。

それはなぜかと言いますと、首周り→難病の後縦靭帯骨化症(OPLL/*)や、股関節→臼蓋形成不全(**)の罹患率が、日本の方が圧倒的に高いからです。これらは欧米では非常に稀な病態です。ということは、難治であるのは間違いないにしても、経験則で日本の方がより的確な治療が受けられる可能性が高い、ということになります。

*後縦靭帯骨化症(OPLL) :首の背骨の後ろ、神経の前方部にあり、背骨を安定させる靭帯である後縦靱帯が何らかの原因で骨に変化(骨化)して、この骨化したものが脊髄を圧迫する病気。日本人の首の外来患者の約3%に発症。一方、同じく欧米人は約0.1~0.12%。
**臼蓋形成不全 :大腿骨頭を受けている寛骨臼にある臼蓋が、先天的に浅く不完全な状態。30~40代になって、股関節の痛みを感じることが多い。

3:フランスでお勧めのオリジナルの最新治療とは?

難病認定の大腿骨頭壊死症というのがあります。さまざまな原因で大腿骨頭への血流が妨げられて起こる疾患です。この病態は前述と逆で、フランス人の方が罹患率が高いため、より研究が進んでいるともいえます。現在フランスでは『再生医療』を使った最新施術が受けられます。腸骨からの骨髄液をとり、幹細胞を濃縮したものを壊死部に注入します。

以前に当施術で有名なMondor病院からでた論文によると、術後13年で人工関節の回避率が83%と非常に良好とのこと。逆に無治療だと壊死の大きさにもよりますが、高い確率で骨が圧潰し、人工関節が必要になることがほとんどだそうです。日本でも僅かに導入はされているようですが、2012年度末あたりから本格化されるか──?

本間先生、今回はご教授ありがとうございました!

また日仏ドクターズそのもの比較ウォッチングも非常に興味深いものでしたが、そちらについてはオフレコ、ということで。
(*^。^*)