厚生労働省の平成20年の統計によると、全国には病院が約8,800、一般診療所が約99,000施設あるそうです。また病床数(入院できるベッドの数)は全国で合計約1,756,000床あり、これは人口10万人当たり1,260床に相当します(注1)。ちょうど規模の小さな人口15万~20万人程度の地方都市で1,800~2,500床ある計算になり、少なくとも一部の離島や過疎地域を除けば、おそらくほとんどの人が日常の行動範囲の中に病院や診療所が含まれていることになるのではないでしょうか?


 ところで皆さんは普段、「病院」というものをどれくらい意識して生活しているでしょうか?よく駅のホームや電柱、地元のフリーペーパーなどに病院や診療所の看板や広告が掲載されていると思うのですが、ほとんどの方が「日常の景色の一部」としてほとんど意識することなく過ごしているのではないかと思います。


 では皆さんは普段あまり気に留めるこのない病院や診療所に、どんな時に足を運びますか?


 おそらく体調を崩したりケガをした時に初めて病院の存在を意識し、あわてて電話帳で近くの病院を探したり、近くにあった診療所を思い出して受診したりしているのではないでしょうか?


 もちろん一般的にはそれで間違いはないですし、そもそも(医療関係者の私が言うのもなんですが、)病院などは警察などと同じく、必要がなければなるべくお世話にならない方がいいに決まっています。病気知らずで元気に長生きできればそれに越したことはないのですから。


 ですが、やはりそうはいかないのが病気の怖さで、病気の種類によっては「症状が進行してからでは遅い」というものも現実にあります。

 私もずっと外科医として診療をしてきた中で、「もう少し早く病院を受診してくれていれば・・、」という経験をたくさんしてきました。そしてそういった方の中に「忙しくて病院に来られなかった」、「病気の診断を受けるのが怖かった」と言って、症状に気づいていたにもかかわらず放置し、いよいよ悪化してどうしようもなくなってからやっと病院を受診された方も多くいらっしゃいました。


 私のように普段病院に勤務していると病院というものを身近に感じることができるのですが、やはり私たち医療従事者が想像している以上に一般の方にとって病院というものは敷居が高く、「近くにあっても遠い存在」なのだろうと思います。


 

 病院をもっと身近な存在にしたい。



そんな想いからこのブログを始めることにしました。



このブログでは身近な医療情報をはじめ、私の日常の出来事や日々思うことなど、随時書いていきたいと思います。



一見とっつきにくそうに見える「医師」という存在が、いかに普通で、実はどこにでもいる近所のお兄さん(おじさん?)と変わりないかということを知っていただき、身近に感じていただけるうようになるととてもうれしいです。






(注1)

これは地域によってかなり差があり、たとえば人口が少ない割に県土が広い高知県では人口10万人当たりの病床数は全国第一位の2,478床あり、もっとも少ない神奈川県の832床と比べると約3倍もの差があります。もちろん入院を必要とする、たとえば高齢者の割合なども関係してくるため単純に多い少ないと議論はできません。