下の図は以前お見せしました日本人の死因に関するグラフです。
これを見ると、死因で突出して多いのがガンなどの悪性新生物で、2位の心疾患の2倍近くの割合を占めていることがわかります。
ところが、実は2位の心疾患と3位の脳血管疾患はまったく別の病気というわけではなく、いずれも動脈硬化が原因となることが多いため、ひとまとめに「動脈硬化性疾患」といわれることも多くあります。
そこでこのグラフを少し変更してみますと、
というふうになり、実は動脈硬化性疾患はガンに匹敵するほど、日本人の死因として重要な位置づけになっているのです。
つまり健康で長生きをしようと思っている人にとっては、ガンの早期発見と同じくらい、場合によってはそれ以上に動脈硬化の予防が大切になってくる、ということになります。
ところが、多くの方はガンの早期発見には注意を払っていらっしゃると思うのですが、動脈硬化の予防を意識して毎日の生活を送っていらっしゃる方はそれほど多くないのではないでしょうか?
最近は動脈硬化との関連でメタボリックシンドロームという言葉がいろんなところで盛んに取り上げられており、肥満予防が動脈硬化の進行を抑えるということをご存知の方も多くいらっしゃると思います。
とは言うものの、「そんなに簡単にやせられるなら苦労はしない。」と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
特に最近は不況の影響で、働いていらっしゃる方も将来への不安からストレスが増え、また給与が減っているにもかかわらず人員削減のため、残された人の一人当たりの仕事量が増えているのが現状です。
また家庭で高齢のご両親の介護などに当たっている方についても、公的介護サービスの不十分さなどから肉体的・精神的負担が増え、不規則な生活やストレスの増加などによりあらゆる場面で太りやすい条件がそろってしまっています。
そんな中で、ただ「痩せろ、痩せろ」と言われてもそんなに簡単に生活のリズムを改善できるはずもなく、最近では肥満対策を個人だけの責任にするのではなく、地域や社会全体で担っていく重要性が近年増加してきているのです。
実は、あまり知られていないかも知れませんが、人間ドックや健診施設はそういった対策の中でも重要な役割を担っており、すでに各施設でその取り組みがはじまっています。
一般に人間ドックや健診施設というと、「病気の早期発見」というイメージが強いと思いますが、実は病気になる前の健康な時から、将来病気になりうる要因を見つけ出し、病気にならないようにその要因を事前に除去していく、という取り組みが行われているのです。
具体的には、たとえば職場の就業環境の問題であれば、その職場の産業医の医師と連携して環境改善の働きかけを行ったり、介護の問題であれば公的サービスの紹介、入所・通所できる施設や往診してもらえる開業医の紹介などを行うことで介護者の負担を軽減させるなどの取り組みです。
詳しくは後日書きますが、メタボリックシンドロームの怖いところは糖尿病や高血圧などの病気が発病し、病状がある程度進行してしまうと、もう健康な状態へ完全には戻れなくなってしまうということです。せいぜいある程度改善させるか、病気の進行を止めるくらいしかできません。その意味ではひょっとしたらガンよりも恐ろしい状態と言えるかもしれません。
つまり、本来は病気になる前に病院を受診して病気の予防をすることが一番大切なのですが、ところが一般の病院は、(当然ではありますが、)症状がない「健康な状態」では受診することができません。
そういったときに重要な役割を担うのが人間ドックや健診施設なのです。
健康なときこそ健診を受け、生活環境や職場環境などについてもどんどん相談していただきたいと思います。
そのことで少しでも環境からのストレスを減らし、規則正しい生活リズムを取り戻すことで、メタボリックシンドロームの予防に生かしていただきたいと思っています。
「健康なときこそ受診を!」
この言葉の重要性は今後どんどん増していくものと思います。