読売新聞の長期連載「虚実のはざま」が、書籍『情報パンデミック〜あなたを惑わすものの正体〜』(中央公論新社)という形となり、出版されました。
 
 
なぜ、誤った情報を信じてしまったのか? 虚偽情報を信じた後に本人や家族に起こる変化とは?
そして、デマや陰謀論を流布する人は、どんな人で、その真意は?
 
これらの問いの答えと背景にあるものを解き明かし、対処の可能性を探ることを目的に、読売新聞大阪本社社会部のデスクと3名の記者が、丁寧な取材を重ね、実相に迫ったのが、こちらの書籍です。
 
実は私も、虚偽情報への処理の仕方についての取材を受け、公衆衛生に関する行政の情報発信に詳しい識者として、本書p230に登場しています。
 
(私を取材してくださった記者の喜多俊介さんと@出版記念シンポジウム、日本プレスセンター in Tokyo。)
 
 
コロナ禍では、SNSなどで、専門家と誤った情報を信じている人が対立する場面を目にしましたが、対立からは分断しか生まれません。
 
リスクコミュニケーションの基本は、相手を理解すること。
 
相手の主張を突っぱねて、科学的に正しいとされている情報を一方的に伝えることを、リスクコミュニケーションとは言わないのです。
 
なぜ誤った情報を信じてしまったのか?
 
まずこの問いの答えを理解しようとする姿勢が、医療者をはじめ、リスクコミュニケーションを担われている専門家と、誤った情報を信じてしまった人との間で、(分断せずに)「対話できる関係」を築くための第一歩。
 
それから「互いの世界観の翻訳」をし、焦らずに、対話を通して、互いの情報や認識のレベルを近づけるように試み続ける。
 
このプロセスのカギとも言える相手の世界観の理解に、『情報パンデミック』が役立つでしょう。

 

そして、今の時代、虚偽情報の処理は、公衆衛生の緊急事態が起きたときのリスクコミュニケーションの役割の一つだと、米国CDCは述べています。

 

そこで、私の新刊著書『公衆衛生の緊急事態にまちの医療者が知っておきたいリスクコミュニケーション』(医学書院)では、13章(p238~p261)で、一対一、対マスに向けた虚偽情報の処理の仕方を、それぞれ具体的に解説しています。

 

対個人、対マスとでは、それぞれコミュニケーションの方法が異なるため、対個人へは対話の仕方を、対マスでは公表の仕方を紹介しています。

 

 

さらに、前述の「互いの世界観の翻訳」の重要性やその実践事例についても、私の新刊著書のp67~70で紹介しています。

 

誤った情報を信じてしまっている人たちとのコミュニケーションに難航している方への、私のオススメは、
  1. 『情報パンデミック』で、誤った情報を信じている人びとの世界観を知る
  2. 『公衆衛生の緊急事態にまちの医療者が知っておきたいリスクコミュニケーション』で、虚偽情報を処理するための実践ノウハウを学ぶ

という段階的読書。

 

image

 

よろしければ、ぜひ!