早いもので、今年もあと2週間ですね!
 
焦る気持ちを抑えるために、お花を飾っています♡
 
さて、連載をしている専門誌『公衆衛生』12月号が届きました!
 
 
今月号のテーマは、心理的反発を防ぐリスクコミュニケーションです。
 
新型コロナワクチンの3回目接種もスタートしていますが、ワクチンに懸念を抱いている人へのリスクコミュニケーション、うまくできましたか?
 
「副反応はありますが、依然、ベネフィットがリスクを上回るので、ワクチン接種をお勧めします」
と言って、反感をかってしまったということはありませんか?
 
私たち医療者や公衆衛生関係者は、よくベネフィットとリスクを比較して、リスクが受容できるレベルで、ベネフィットが上回っていれば、ワクチン接種や他の治療などをおこなう判断をします。
 
つまり、ベネフィットとリスクを比較するのに慣れているため、こうした発言をしてしまいがちですが、実は、専門職でない市民にとって、このリスクとベネフィットの比較は「わずかにしか受け入れない比較」であることが、研究により確認されています。
 
「ワクチン接種後の重篤な副反応に苦しんでいる人がいる。仮に、重い副反応が起こる確率が100万分の1だとしても、自分がその一人になるかもしれない。それなのに、ベネフィットが上回るとは、言いきれないのではないか」
と反発する人が多いのは、このためです。
 
では、どう言えばいいのか? どんなリスク比較なら、受け入れられるのか? 
 
ポイントは、接種するのリスクと、接種しないリスクとの比較にあります。
 
「接種にも副反応のリスクがあるけれど、接種しないことにもリスクがある」というように比較すると、受け入れてもらえやすいのです。
 
他にも、12月号では、そもそも心理的反発が起きるメカニズムやその対処法についても書いていますので、よろしければ、ご一読ください。
 
蝦名玲子.ワクチン・コミュニケーションから考える:心理的反発を防ぐ方法.公衆衛生関係者が実践したい クライシス・緊急事態リスクコミュニケーション.公衆衛生85; 12: 850-854, 2021.
 
 
来週は、日本公衆衛生学会で、リスクコミュニケーションのシンポジウムの座長とシンポストもさせていただくので、楽しみ!
よろしければいらしてください!