先日、メルマガ【 GHCヘルスコミュニケーション通信 第40号 】(2017.3.18) を発行したのですが、反響が大きかったので、ここでもシェアさせていただきます。
-- 引用始まり--
3.11の少し前、福島県立福島高等学校で「生き抜く力の育て方」についての講演をさせていただきました。
福島高校といえば、文科省によりスーパーサイエンスハイスクールの指定を受けた学校。ちょうど私の講演の前に、生徒たちによる研究発表会が開催されていたのですが、 「D-Shuttle Project 福島県内外の高校生個人線量調査」といった線量率の学校・地域(海外を含む)間比較についての調査等、とても質の高い、興味深い研究発表が英語でなされていて、びっくり! まとめ方も、通常の学会誌と同じく、英語の概要及び、研究の背景と目的、方法、結果と考察から成り立つ抄録が書かれていて、興味深く読ませていただきました。
そんな高校生の皆さんの理解度や礼儀正しさは素晴らしく、私の講演後の質疑応答時の質問や生徒代表による感想も鋭くて感心したのですが、それ以上に嬉しかったのは、生徒たちの、「原発事故を経験した自分達だからこそ疑問に思うこと、出来ることを逃さない」という姿勢を目の当たりにしたこと。
原発事故がもたらした福島の状況は今なお大変なもの。今年に入ってからも、横浜、東京、新潟…と、「原発いじめ」がニュースになったり、福島第一原発2号機内部に穴が発見されたり、国の避難指示が解除される「特定復興拠点」の面積は5%程度にとどまると試算されたり、未だ、原発事故が、物理的にも、社会的にも、過去のものではないと感じています。
それでも、「原発事故を経験した自分達だからこそ疑問に思うこと
いま、生き抜く力や困難を乗り越える力としても知られるSOC (Sense of Coherence; 首尾一貫感覚)の研究のアドバイザーを務めさせていただいており
「
と結論づけた研究をよく目にします。
そうした研究を目にしたとき、私はいつも
「本当にそうなのか? 他の解釈はできないか?」
「SOCが低い人が、その経験をストレスフルに感じたという見方はできないか?」
というのも、もともとSOCというのは、「思春期のとき、ナチスドイツの強制収容所に入れられ、想像を絶する究極のストレス体験をしても、それでもメンタルを病むことなく、健康な50代を迎えようとしている人がいるのはなぜか」の答えとして、発見されたものです。
ナチスドイツの強制収容所に入れられても、健康を維持できた人はいたのです。収容所から解放された翌年から病院で働き出し、92歳という長寿を全うされたV. フランクル博士のように。
同様に、現代の日本社会にも、震災や原発事故といったストレス経験をしても、その経験を自分の人生に活かそうとしている人はいます。私が先日出逢った福島県の高校生たちのように。
そうした人と出逢うと、私の信念は強まります。
人生は何が起きたかではなく、その出来事にどう対処したかで変わる―。
私は、そう信じていますが、あなたは、どう思いますか?
-- 引用終わり--
どんな反響があったかは、また後日、お伝えしますね。
生き抜く力として知られるSOCやレジリエンスについては、以下の4つの書籍とDVDでも学べます。よろしければご笑覧ください。
生き抜く力のメカニズムを理解したうえで「効果が確認されている確実な方法で、生き抜く力を育もう」という内容の本です。
「ストレス対処力の専門家が教える "折れない心"をつくる3つの方法 」
何があってもへこたれない画期的概念を、日常で使えるように、優しく解説しています。心が折れそうなあなたに読んでいただきたい1冊です。
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困難を乗り越える力、ストレス対処能力として知られるSOCを高めるコミュニケーションや職場づくりについてのポイントを、サクッと学べる、イラストいっぱいのカラー冊子です。
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困難を乗り越える力、ストレス対処能力として知られるSOCを高めるコミュニケーションや職場づくりについて、ドラマを見ながら、学べます。