「予防医学」だけでなく「予測医学」の時代へ!?

 今の医学で、寿命を延ばすことはほぼ、頭打ちにきているのではないかと思います。
 寿命150歳、いや、200歳の時代が来るかも、と思っている方もいらっしゃるようですが、生物学的にはせいぜい120歳くらいではないか、という見解が主流です。
 とすると、これからの医学の向かう方向は、与えられた寿命をいかに良く過ごすか、つまり、元気に過ごせる時間が長くなるようにする、ということであろうと思います。

 時代の流れが、そのように変わってきました。
 まさに今、医療における時代の変わり目と言っていいと思います。

 がん治療も進み、がんサバイバーという言葉もあります。
 癌になったからと言って、みんながみんな、すぐに死んでいくと決まったわけではなく、癌の種類や発見時期などの差はあるものの、癌と付き合いながら長く生きていく人が多く
いるわけです。
 中にはほぼ完治する人もいます。
 癌だけではなく、昔であれば命を落としたに違いない病気にあなたがかかったとします。
 そして、今の時代に治療できたので、無事に病気を乗り越え、生き残ったとしましょう。
 そこで、ただ寿命が長くなっただけでは、何のために辛い治療も乗り越えたのか分からないと思うのです。
 やっぱり生きることができる時間、楽しく、良く生きていくことができてこそ、寿命が延びることの意味が大いにあるわけです。
 もちろんそれだけではないでしょうが。

 京都大学名誉教授の井村裕夫先生が、「『見つけて治す』モデルから、『予測し、予防する』モデルへ切り替えるということだ」とおっしゃっています。
 これを聞いて、予防医学に加えて、「予測医学」、とも呼べるような、疫学の結集があったらよいと思いました。

 俗っぽい表現に言い換えると、自分の将来を予言されるということですね。

 予言というと、なにやら非科学的なにおいがするのですが、いたって科学的な見解に沿って予言をしてもらうとしても、言われる側としては怖さ半分、面白半分かもしれません。
 現実をどれだけ受け止められるかの聞く側(患者側)の器の大きさも、また、聞いた方へのフォロー体制も要求されます。
 言われて落ち込んで終わっていては、逆効果です。

 さて、現状、医療現場で予測の話がないというわけではありません。
 あなたが今~な生活をしていれば、将来~のリスクが高いですよ、という会話は、もちろ
ん今の医療でも普通にあります。
 例えば、糖尿病を放置していたら、足の壊死、失明、腎機能低下、の合併症がおこります、というような話です。

 でもそれは、病気をベースにした話ですね。
 今は病気が見つかってから、それに関する予測の話が多いのです。
 では、病気ベースではない話のテーマとして何があるかと言えば、喫煙やアルコール。
 これは、煙草を吸い続けると、肺がんのリスクが高くなる、といった予測の話ですね。

 これはとても大事なのですが、そういう話をどのタイミングでしているか、が肝心です。
 つまり、病気が見つかる前にできるかどうか、なのですね。
 人間ドックのような検診の場面や、健康教室の講演会などがそのチャンスで
しょうか。
 そういう機会を、地域に根差したドクターが提供されると、その地域はぐっと健康度がアップするでしょう。
 ○○町はなんだかみんな他に比べていきいきと元気そうだ、ということも起こりえます。

 今まで、医者がそこまでやる時間がそもそもないし(忙しい一般診療の合間でなかなかできることではない)、医者がそういうことをやるという意識もなかったと思います。
 市民イベントなど公的機関の役目、という認識ではないでしょうか?
 健康指導に興味のある先生はちらほらと活動されているのですが、まだまだそ
の程度だと思います。

 これからは、そういう活動が広がっていくといいですし、ニーズがそちらに向かうので、自然と増えていくのではないでしょうか。
 予測・予防医学専門クリニックが増えるといいと思います。
 まさにメタボやロコモは、病気が見つかる前の予測&予防医学として、役立つ概念です。
 
これからの時代のあなたの健康の鍵は、「予測」にあり!ではないでしょうか。


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