緊急車両とは、救急車や消防車、パトカーだけではありません。例えば、医師が事故や災害現場に向かうドクターカーやレッカー車、電力・ガス・水道・鉄道会社など、インフラ系の緊急車両もあります。
この緊急車両については、道路交通法39条で「消防用自動車、救急用自動車その他の政令で定める自動車で、当該緊急用務のため、政令で定めるところにより、運転中のものをいう」と定められています。
公安委員会が指定した車両で、サイレンを鳴らし、赤色の警光灯をつけて走行している場合は、緊急車両と認められます。
緊急車両が接近してきた場合の対応について総務省消防庁に聞いたところ、「緊急車両への対応方法は、道路交通法第40条で定められています」と話します。
第40条は「緊急自動車の優先」についてのルールで、以下のように記されています。
交差点またはその付近の場合では、「交差点を避け、かつ、道路の左側(一方通行となっている道路においてその左側に寄ることが緊急自動車の通行を妨げることとなる場合は、道路の右側)に寄って一時停止しなければならない」。
交差点またはその付近以外の場合では、「道路の左側に寄って、緊急自動車に進路を譲らなければならない」。
つまり、緊急車両に道を譲るときのポイントは、その地点が交差点かどうかが肝になってきます。交差点でない道では「左側に寄って道を譲る」ことが正解です。
この時に、ハザードを点灯させ、緊急車両に道を譲るという意思表示をすると良いでしょう。
しかし、交差点付近にいる場合に緊急車両が近づいてくることもあります。その場合では交差点を避けること、つまり交差点内に留まらないようにしないといけません。
交差点に入る前であれば、交差点前で左によって一時停止します。交差点に進入してしまっているなら、交差点を超えてから、左に寄って一時停止しましょう。
そして、交差点で信号待ちしている時に、後方から緊急車両が近づいてきた場合はどうすればいいのでしょうか。
このときも、左に寄って緊急車両を通すことが原則ですが、信号待ちの先頭にいるときなど、停止位置を超えなければ緊急車両が通れないこともあります。
こうした状況の場合はやむを得ないため、赤信号でも停止位置を超えることが可能です。
このときは、緊急車両から発せられる指示をよく聞くとともに、歩行者や交差するクルマなど、周囲の交通に十分注意して進む必要があります。
なお当然ですが、緊急車両に道を譲らないと交通違反になります。「緊急車妨害等違反」として、違反点数1点、反則金6000円が科せられます。
大音量で音楽を聞いていて緊急車両に気づかないなどはもってのほかです。サイレンが聞こえたり、緊急車両が見えたりしたらオーディオの音量を下げるとともに、窓を開けるなど、アナウンスが聞き取りやすくすると良いでしょう。
緊急車両は少しでも早く現場に到着したり、傷病者を搬送したりしないといけません。スムーズに道を譲るために今一度、緊急車両への対応方法を確認しておくと安心です。
また、緊急車両が近づいてきたら、慌てないことも大切です。サイレンを鳴らしているため、ついつい焦ってしまうこともありますが、そこで事故を起こしてしまえばさらに混乱します。
道を「譲る」ということを最優先し、周囲の状況を見極めながら落ち着いてクルマを移動させましょう。
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あえて補足すれば、サイレンが聴こえないような状態で運転はしないのが一番です。