使途秘匿金、1054法人60億円、13事務年度、制裁課税は24億円、不正生む恐れ
2014年6月までの1年間に企業が支出先を明らかにしない「使途秘匿金」として国税当局に申告した資金の総額が60億円で、24億円の制裁課税を受けていたことが10日、分かった。使途秘匿金を支出した企業は1054法人。業種別では建設業の課税額が最も多かった。専門家は「使途秘匿金の支出先の追跡は難しく、脱税や贈収賄など不正の温床になりかねない」と指摘している。
日本経済新聞が国税当局に情報公開請求し、入手した資料を分析した。
資料によると、2013事務年度(13年7月~14年6月)に使途秘匿金を申告した1054法人のうち、資本金1億円を超す大企業は186法人だった。大企業の支出額は30億円で、12億円が課税された。
業種別の課税額は建設業(11億円)が最も多く、卸売業(3億円)とサービス業(3億円)が続いた。製造業(2億円)と運送業(2億円)も目立った。
国税庁が統計を取り始めた1995事務年度以降の19年間では、延べ3万9117法人が4235億円の使途秘匿金を支出。1694億円を課税されていたことも明らかになった。
使途秘匿金は、政治家への裏献金やリベートの原資になっているとの批判は根強いが、企業が使い道を隠そうとするケースは後を絶たない。
今月に入っても、戸田建設が東京国税局の税務調査を受け、13年3月期に支出した約5500万円を使途秘匿金として税務申告し、約2200万円の制裁課税を受けていたことが取材で発覚した。
関係者によると、同社は大阪府内の民間病院の建設に絡み、下請け業者に工事代金を水増しして支払うことを約束し、約5500万円の裏金を捻出。地元対策費などに充てたとみられ、一部が地元議員(当時)に渡った可能性があるという。
使途秘匿金について、制裁課税が違法支出の歯止めになっていると評価する意見がある一方、税率の引き上げや制度の見直しを求める声も多い。
龍谷大法学部の今川嘉文教授(商事法)は「多額の税負担は株主に不利益となる可能性がある。必要悪として商取引に介在させる日本の慣習は国際社会では通用しない。国税当局による企業名公表など制度の見直しが必要だ」と指摘する。
(出処 : 8月11日 日本経済新聞)
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