7月30日、第四回公判が開かれ、検察の論告求刑、弁護人の弁論が行われました。

検察は、被告人は反省してないので厳罰に処するべきとし、罰金30万円を求刑しました。


弁護人は、違法なオトリ捜査によって逮捕、勾留、起訴されたのであり、これは適正手続きに反する重大な違法があるため、公訴提起の効果が無効であるから、公訴棄却されるべき、また迷惑防止条例の違反に該当しないことは明らかであり、被告人は無罪である...

などと結論づけました。


本来ならこの日に、引き続き被告人陳述で結審し、次回公判で判決という日程になるはずでしたが、検察の要望で、次回公判でもう1度検察の論告をやることになり、判決の日程が先送りになりました。

被告人陳述も次回に延期です。

なんとしても勝利しましょう!!!



弁護人の弁論(要旨)は次の通りです。


第1  総論


本件は公訴棄却されるべきである。

また、被告人は本件公訴事実につき無罪である。

本件公訴は警察官が被告人の犯意を誘導し、本件行為を行わせた違法なオトリ捜査であり、適正手続きに反する重大な違法があり、公訴提起の効果が無効であるから、公訴棄却されるべきである(刑訴法338条4号)。

また、被告人は横に並んで歩いたが、言葉を一方的に発していたものではなく、警官が被告人の話しかけに拒否することなく聞き入れていたために歩きながら会話のやり取りをしていたのであり、身辺につきまとっていたわけではなく、執ように客引きしたものではないから、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(東京都迷惑防止条例)に該当しない。


第2  違法なオトリ捜査であること


1.警察官であることを秘匿して現行犯逮捕するまで、そのまま会話を続けていたのであり、これらの行為は一般の歩行者を装い、執ような客引き行為となるように誘導し、条例違反を理由に現行犯逮捕しようとするオトリ捜査であったことは明らかである。


2.オトリ捜査であるからといってすべて違法となるものではないが、オトリ捜査でなければ検挙できないような必要性がない場合や、必要性があっても機会の提供にとどまるものでなく、犯意を誘導するようなオトリ捜査は犯罪者を作り出す点で適正手続きに違反する重大な違法があり、公訴提起の効果が無効であるから、公訴棄却されるべきである(刑訴法338条4号)。

本件オトリ捜査は、迷惑防止条例違反となる執ような客引き行為を検挙しようとするものであるが、苦情が多いというだけであって、オトリ捜査しなければならない必要性については何ら示されていない。


また、被告人の誘いに断る意思を明確に示すことなく、交渉に応じるとも思わせるような言動を織り交ぜながら、被告人の行為が執ような客引き行為となるように継続して誘導しようとしたものであり、執ような客引き行為の機会を提供したにとどまらず、犯意を誘発しようとしたことは明らかであるから、違法なオトリ捜査であり、適正手続きに反する重大な違法があり、公訴提起の効果が無効であるから、公訴棄却されるべきである(刑訴法338条4号)。


第3  身辺につきまとっていたわけでなく、執ような客引き行為にあたらないこと


被告人は声をかけた後、並んで歩いていたが、むしろ警官が上半身を寄せるようにしてきた(防犯カメラ映像)

二言三言の会話であり、三言目に被告人は「帰りますか、まあ無理にではないですけど、もしよかったら」それ以上誘わないという意思を示し、並んで歩くのをやめ、立ち止まったものである(ボイスレコーダー、防犯カメラ映像、被告人質問調書)


迷惑防止条例の目的は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もって都民生活の平穏を保持することを目的とする」(同条例1条)。

そして、同条例において、不当な客引き行為等の禁止として、公共の場所において、不特定の者に対し「身体又は衣服をとらえ、所持品を取りあげ、進路に立ちふさがり、身辺につきまとう等執ように客引きをすること」が禁止されている(同条例7条1項4号)。

そうすると、「身辺につきまとう」とは、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止するという同条例の目的や同行為が「身体又は衣服をとらえ、所持品を取りあげ、進路に立ちふさが」る行為と同列にあげられ、執ように客引きをすることの1つであるとされていることからすれば、単に並んで歩いていることをいうのではなく、相手が誘いを明白に断っているにもかかわらず、離れようとせずに相手の意思に反した誘いを継続することをいうと解するべきである。

「寒いんで帰ります」などというので、寒いのであれば暖かいガールズバーはどうかと考え誘い、「お金使ってきちゃったんで」というので、お金を使ってきてしまったのであれば安いガールズバーがあると誘っただけであって、その後、寒いから帰るという意思を明確にした後は、「まあ、無理にではないですけど、もしよかったら」といってこれ以上誘わないことを示し、立ち止まり、勧誘行為をいったんやめており、さらなる誘いをしていなかった。

ところが、オトリ捜査を行っていた警官が、被告人に対し、執ような客引き行為になるまで、さらなる誘いを誘発しようと、立ち止まって被告人の顔を見たために、思い直して店に行くことにしたのかと考えた被告人が、「結構評判良いんで、1時間だけないですか」ともう1度声をかけたものである。

そうすると、この被告人の話しかけは、警官が改めて立ち止まって振り向き、被告人の顔を見て思い直して行く素振りを示したからであって、断っている相手にさらなる誘いを行ったものではない。

したがって、被告人の行為は、相手が誘いを明白に断っているにもかかわらず、離れようとせずに相手の意思に反した誘いを継続したものではないから、「身辺につきまとう」行為にはあたらない。


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