自ら動けない入院患者さんに多剤耐性菌を伝搬するのは健康人

病院は抗菌剤が身近なので多剤耐性菌は常在菌で多い
健康人が患者さんに伝搬する

なので入院期間は可能なだけ短い方がいい
酸素投与必要なく入院必要ないなら
入院しないDo not hospitalized も1つ
(多剤耐性菌感染にあわないために)





ESBL産生菌が検出された場合、
三回培養陰性でもESBLが消えたわけではなく
腸管内に保菌している


市中の健康人もESBL保菌している(報告により2%-15%)
保菌だけでなくESBLの市中感染症
以前はESBLは肺炎捍菌が多かったがESBL大腸菌が急速に増加

一般人のESBL大腸菌の尿路感染症は
→外来でカルバペネムで解熱し
→その後ESBL再検出されても(陰性化しないor再獲得)
→症状がなければ尿にESBL保菌状態で治療しない
(除菌は不可能、除菌しない)
保菌者は社会に放流

(ESBL産生遺伝子がRプラスミド上にコードされてるため同菌種間だけでなく肺炎桿菌から大腸菌、腸内細菌科の異なる菌種間に伝達される
ESBL産生菌は肺炎桿菌、大腸菌、プロテウスミラビルス中心から
セラチア(イソジン無効)、エンテロバクター、他の腸内細菌系の多菌種に広がり増える傾向)

健康人へ伝播する経路は
にわとり、鶏肉の食肉を介した伝播が想定
ESBL産生菌陽性率はニワトリで6割、ペットで4割、ウシで2割、ブタで1割

食品では生鮮野菜からもESBLは検出される

餌にセフェムを使用しないトリで高率陽性の一因に、
ニワトリ用ワクチン接種システムの消毒薬の代替の動物用第三世代セフェムの混入

ESBL産生菌感染事例の増加には
分離株の遺伝解析より鶏肉を主とする食品由来 ESBL 産生菌がヒト腸管細菌へ耐性遺伝子を伝達しヒトに適応したESBL 産生菌の拡散が考えられるとのこと

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[基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌に関わる最近の動向とその拡散に関する考察 ~食品汚染実態とその危害性について~
食衛誌 Vol. 58, No. 1 (2017)]
健常者のように抗菌薬に暴露されていないヒトにおいては
トリ型の ESBL産生菌(ニワトリから高頻度に検出されるESBL型(プラスミドレプリコン型)が検出される場合もあるがこれらは排菌過程にある菌体が偶然に検出されたと考えられる
一方
トリ型とは異なるゲノム配列または耐性プラスミド配列を示すヒト型が、
ヒト臨床患者から多数検出される疫学実態は
ヒト体内に侵入したトリ型 ESBL産生菌から
ヒト腸内細菌叢へと耐性遺伝子の伝播が生じ
ヒト型ESBL産生菌の新たな誕生と安定化を招いている可能性を示唆しているといえる
これを支持する知見として,Ben Sallem らは,食用動物から分離された ESBL産生菌の多くが
動物およびヒト由来のcommensal E. coliと関連が認められる遺伝的系統型に属す一方
ヒト臨床由来株と関連する系統型の株は分離されないことを報告している7)

このほか抗菌薬や重金属による環境汚染が薬剤耐性菌の選択圧や耐性遺伝子伝播を助長している可能性も示唆12)

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ESBL産生菌は主として院内感染症起因菌として認知されているが
近年では「健常者」からのESBL産生菌検出事例が増えつ つあることがこれまでの報告でも提起されている5)~24)
本稿における文献調査結果はヒト間での水平伝播が拡大 傾向にあることを支持するものと考えられる
なお国内の文献より「健常者」では7.4%(340検体中25 検体)「入院患者」は16.3%(1,037 検体中 169 検体)
「市中・外来患者」は 5.1%(158 検体中 8検体)の陽性率となっていた
これに対し国外特に中国およびタイでの報告例では「健常者」における高いESBL産生菌保菌実態も示されていた10), 12).
その一因としてLuvsansharavらは食用動物の生産段階における抗菌薬の不適切な使用を挙げている12)

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Analysis of risk factors for a high prevalence of extended-spectrum {beta}-lactamase-producing Enterobacteriaceae in asymptomatic individuals in rural Thailand.
タイ農村の無症候者の基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生腸内細菌属の高い有病率のリスク因子の解析
J Med Microbiol. 2011 May;60(Pt 5):619-24
Abstract 抄録
This high prevalence may be linked to antibiotic abuse.
この高い有病率は抗菌剤乱用と関係がある可能性がある

Discussion 考察

Furthermore, several studies have linked the high preval ence of antibiotic-resistant bacteria in the human population to the use of antibiotics in the farming industry (Bailar & Travers, 2002; Dutil et al., 2010; Hawkey & Jones, 2009; Larson, 2007).
さらにその上 いくつかの研究は、
ヒト集団における抗菌剤耐性菌の高い有病率と
農業での抗菌剤使用を関係づけた

Recent studies have revealed an increased prevalence of ESBL-producing microorganisms in poultry at chicken farms (Brin ̃as et al., 2005; Yuan et al., 2009).
最近の研究は、養鶏場の家禽におけるESBL産生微生物の有病率の増加を
明らかにした

Other studies have also reported that farmers may be more likely than the general population to acquire antibiotic-resistant bacteria of food-animal origin (Aubry- Damon et al., 2004; Swartz, 2002).
他の研究も食用動物起源の抗菌剤耐性細菌検出が一般人口よりも農民に
より多い可能性を報告した

However, the current study did not reveal any direct association between the prevalence of ESBL-producing bacteria and
meat consumption or the occupation of the participants.
しかしながら最近の研究はESBL産生菌と研究参加者の食肉消費または職業の直接の関係は明らかにならなかった

This may be because of the homogeneity in the population of farmers who participated in the study or because most of them only had backyard chickens and not big industrialized farms.
これは研究に参加した農民集団の均一性または彼らのほとんどが
裏庭に鶏がいるのみで大きな工業型農場ではなかったための可能性がある




Prevalence and risk factors for Extended-Spectrum Beta-Lactamase-producing- Enterobacteriaceae in
French military and civilian travelers: A cross-sectional analysis.
フランス軍と一般旅行者における基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生腸内細菌属の有病率とリスク因子:
横断研究
Travel Med Infect Dis. 2018 May - Jun;23:44-48.
CONCLUSION: 結論
Antibiotic treatment in the two previous months is strongly predictive of ESBL-E colonization in international travelers, while the
military status and its specific living conditions are not.
海外旅行者では2ヶ月以内の抗菌剤治療がESBL腸内細菌属の保菌を強く予測したが、一方、兵役とその特異的生活条件は予測しなかった