保菌はカニューレ使用者は肺炎の引き金になる

肺炎中の培養でも
常在菌か原因菌か区別できない
(MRSAも常在菌)
グラム染色で好中球の貪食像有無とフィブリン染色有無

G染色も
脱色しすぎ→陽性菌が陰性菌にみえる
脱色不良→陰性菌が陽性菌に
グラム陰性桿菌が→腸内細菌科細菌か緑膿菌か、
chain形成陽性球菌が→腸球菌かViridans Group Streptococcusかは培養

貪食像有無も確定材料にならない
多数の白血球が集まってる場合は感染



肺炎の起炎菌がほぼわからないのは
痰培養が、病変から出てきた痰とは限らないためもある


病変から排出された痰ではない、
病変ではない気道から分泌された痰→その痰をとり→その痰の保菌を培養
→起炎菌でない痰培養の結果になる

肺炎が深い所にあって
痰は気管や気管支が分泌した痰を採取→病変でない部位の保菌を培養

患者さんが治った後の
痰培養結果がMRSAだったり

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肺炎の起炎菌は現在なお約半数が不明
[Streptococcus milleri groupの呼吸器感染症における臨床的意義に関する報告
感染症学雑誌第65巻第11号.1991:1419-29.]

[Community-acquired pneumonia requiring hospitalization: 5-year prospective study.
入院が必要な市中感染肺炎:5年間の前向き研究
Rev Infect Dis. 1989 Jul-Aug;11(4):586-99.]
Abstract 抄録
Pneumonia of unknown etiology and aspiration pneumonia were more common and Mycoplasma pneumoniae infection less common among those with nursing home-acquired pneumonia.
老人ホーム感染肺炎の患者では
病因不明の肺炎と誤嚥性肺炎がより多く
マイコプラズマニューモニエ感染はまれだった

Streptococcus pneumoniae accounted for 58% of the 48 cases of bacteremia.
肺炎連鎖球菌は細菌性の48症例のうち58%を占めた

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NHCAP診療ガイドライン(日本呼吸器学会)
中等度C群、重症D群で広域抗菌薬が推奨
MRSAリスク患者は抗MRSA薬の併用推奨
実際にC群は推奨抗菌薬を使わなくても予後は変わらない、SBT/ABPCで8割は治癒という報告が発表されるようになる

これは耐性菌が単なる検出菌なのか原因菌なのか
明確な根拠なしに広域抗菌薬が推奨された経緯がある


耐性菌検出の意味は起因菌であるか否かよりも
その患者の身体機能の衰えを反映している考え

HCAPガイドラインを遵守した治療が予後を改善する根拠はない

薬剤耐性菌を疑われた患者集団において
ガイドラインで推奨された広域カバーの抗菌薬併用療法を行ったガイドライン遵守群が
非遵守群より死亡率が有意に高かった報告

2013年Charmersら22456例メタ解析
「HCAPの概念は主に低い質のエビデンスに基づいており耐性菌を正確に検出していない
HCAPにおける死亡率は耐性菌の高い頻度を反映しない」と結論づける

広域抗菌薬や抗MRSA薬は70歳以上の高齢者肺炎においてそれほど大きな意味をなさない
抗菌薬の選択は予後に影響を与えていない可能性が高い