先日、子どもの運動会があった。
かつて私も、教諭として勤務していた身として、小学生の息子たちの運動会で見た光景は、強い感慨を抱かせるものであった。
競技中、赤ちゃんを連れた育児休暇中の先生方が何人か、応援に来ていたのである。
自身の過去の経験と、大きな違いを感じた。
私のいた職場では、育児休暇を取得すること自体が「罪悪感」のような状態であり、MAXまで休みを取れば退職する人が多かった。
欠員の補填がされない人手不足の現場では、「自分のせいで同僚に迷惑をかける」というプレッシャーが重くのしかかり、出産前に離職を選ぶ職員も少なくなかった。
子どもを育てながら働くことの難しさは、その職場では現実として存在していた。
しかし、息子が通う学校は、その光景がまったく異なっている。
時短勤務の先生方が複数おり、職場結婚も多い。
さらに、子どもの発熱で男性の先生が早退することも珍しくないと聞く。
育児休暇中の先生方が職場に顔を出す行動は、決して「休み中でも働くべきだ」という旧態依然とした考えから来るものではない。
むしろ、「休んでいても歓迎され、復帰後のサポートも期待できる」という高い心理的安全性と温かい職場文化が存在するからこそ、成立するのだろう。
私の以前の職場では、「居づらさ」や、「復帰後の勤務の過酷さ」から離職が選ばれていたのに対し、息子の学校では「つながり」によって先生方が職場に引き寄せられている。
この対照的な二つの現場をみて歴然とした違いを感じる点は、ただ制度を導入するだけに留まらないことである。
男性の育児参加が当たり前となり、制度を利用する職員に「罪悪感」を与えない職場風土を育むことの大切さ。
「残された職員が大変だ」とただ嘆いていても意味はない。人に辞められるデメリットの方が大きいのだから。
運動会で目にした光景は、厳しい現状の中でも、教員が子育てと仕事を両立し、長く働き続けることができる希望のモデルケースの一つとして、私自身の心に強く残っている。
人材は大切にしたいものだ。
