「じゃあ、僕だけが…」と、まだ
還暦祝いに行くことに未練タラタラだった。
私は
旦那の目の前で義母に電話をかけた。
「新生児の時もいいましたが。
まだ、赤ちゃんを連れ回せる時期では無いんです。
私達にも予定があります。
相談も無く日時を指定してお金を要求するのは辞めてください。
私達は明日、還暦祝いには行きません!」と。
「何言ってるのよ!前日にキャンセルなんて出来るわけないでしょ!」
「義母さんが勝手にこちらの承諾も無しに申し込んだんです。ご自身でキャンセル料を払ってください。私たちは一度も承諾してません。
勝手に結ばれた契約なら不履行です。うちに支払い義務はありません」
「首が座ってなくたって、旅行してる子どもなんてたくさんいるじゃない!
チャイルドシートは赤ちゃんを乗せるために設計してあるんだから乗せて何の問題があるのよ。
神経質な子育てしてたらろくな子どもが育たないわよ」
「チャイルドシートの取説にも長時間の使用は禁止されてますよ
新生児でも外に連れ出す人は確かにいるかもしれません。でも私は嫌です。
義母さんは自分の還暦祝いばかり気にしてるけど、孫に負担が掛かっても大丈夫なんですか」
「休み休み
何時間もかけて来ればいいじゃない。
還暦祝いなんて1回しかできないのよ」
…お前なら米寿も喜寿も楽勝だから
安心しろ。こっちの方が先にストレスで死ぬわ。
まったく
話し合いにならない。
「子どもの命を危険にさらしてまで
参加しなければならないなら
私は離婚します」
そう言って電話を切った。
話を聞いていた夫は
「またドタキャンか…
お母さん達と会えるチャンスなんだけどなあ
生後三ヶ月くらいじゃ、出歩いてる子どもなんて
たくさんいるしなあ」
と、つぶやき、自室にこもったまま
出てこなかった。