外は灼熱の太陽に青い空、澄んだ空気に生き生きした緑の山々...
を横目に


穴ぼこだらけ、日本なら絶対舗装が必要なガタガタの道を、車内ムンムンのパトカーで交渉しながらブラックリバーの警察署へ向かう。


そうだった。
今日は日曜日だ。。。


嫌な予感が募っていく。

気づいたら汗が止まらない。
外の太陽の熱さに、社内のクーラーが追いつかなく、ましてやセダンのパトカーに黒人の大男3人と俺とワタルと密度が高かったからなのか、それとも焦りからくる脂汗、もしくは冷や汗なのかわからない。
もちろんキツキツの手錠はかけられたままだ。


どうりでこいつらポリスたちは微妙に機嫌が悪いわけだ。
この国の人間は日曜日はほとんど機能しない。

大体の奴が家族とゆっくり過ごしたい。

ポリス達からしてみれば、おそらくインファーマー(チクリ)からのめちゃくちゃな話  ”銃もってコ◯インさばいてる日本人がいる”  みたいなのを聞いて、日曜日を潰し、気合い入れてフル武装でガサに来てみたら、大◯とチャリスだけとかふざけんじゃねー。
っていう感じだったんだろう。
田舎にしちゃデカイ山と思ったら、とんでもない肩透かしくらった感じなんだろう。

なんかガッカリされてる。
お前大したことねーな。みたいな。。


だったら逃がしてくれ。。。

「Go to Jail」
それしか返してこない。

頼む。金払うから何とか見逃してくれ!


焦りのギアが一つ上がっていた俺にポリスが、さらに追い打ちをかける一言をかけた。
「お前が金を払うのは裁判所だ。でも今日は日曜だから、裁判所へ行くのは明日だな。そこで罰金払え。」

出刃包丁とかアイスピックか何かで刺されたんじゃないかと思う程に突き刺さった。
首元がヒヤッとするのもわかった。
こんな常夏の国で。。。


明日?
裁判所が明日?
じゃあ今日はどーする。


こんな早朝に捕まって、明日の裁判まで丸1日はどーやって過ごすんだ?
さすがに異国の地で刑務所はないだろー!

勘弁してくれ。

 

最悪だ。


何を言っても聞いても返ってくるのはYou go to Jail.もしくは無視だ。




ダメだ。今回ばかりはどうにもなりそうにない。さすがに覚悟を決めなくては。

しかし隣にいるワタルは本当に関係ない。
全ては俺のせいだ。
ワタルだけでもなんとかならないか?
帰せないのか?

色々聞いたが、ワタルを解放するには
裁判所で関係ない事を証言してから罰金を払って出る。

それしか選択の余地はないようだ。



これがワタルと初めてリンクしてから4日目の出来事だ。


熱烈交渉の甲斐も虚しく、というか空振り、無視され続け、ブラックリバー警察署に到着した。


これからどうなるんだ。
全く予想のたたない事態に不安も溢れそうになっていた。






しかし、もう受け入れなければ。




いや、無理無理ムリむり!

 

どこかで解放してくれるチャンスはないのか?

 

 

 

 





パトカーを降りた時、俺は隣のポリスにお願いした。
写真を撮ってくれ。


こんなの人生で初めてだし、手錠もしてる。

記念に1枚撮ってくれ。
と頼んだ。


「わかったよ 。いいぞ!カメラを貸せ」

俺「あ。。。ダメだ。カメラ自体は今持ってないし、携帯に付いてない。お前の携帯はカメラ付いてないのか?」

「俺のは付いてない。じゃダメだな。さあ大人しくさっさと入れ!!」


ジャマイカいる時だけだし。スマートフォンも殆ど普及してなくてメチャ高いからと
カメラ付きでもないNOKIAのポピュラーな安い携帯を買った事を後悔した。

人生の中でも絶好のシャッターチャンスを逃し、そのまま手錠に付いた紐をピンっと引っ張られ、首根っこをつかまれた猫のようにブラックリバーの警察署の中へと連れて行かれた。




長くてとんでもない日曜日の始まり。



いや、この日曜日こそが本物の悪夢の始まりに過ぎなかった。