解決策もなく、ただ待つ。




それしかないけれど。




時間って、楽しくて止まって欲しいなぁ〜って時にはあっという間に過ぎて

さっさと進んで欲しい時には、止まってるように感じるほど遅い。


ジャマイカという国では、比較的時間がゆっくり感じれたりするが、このジェイルの中は格別だ。

ましてやこの中の圧迫感や蒸し暑さには発狂したくなる。


ギリギリのギリで平静を装ってる。


つもりだ




そんな中で気を紛らわせる、暇を潰すにはジャマイカン達と話したり遊ぶのが1番だ。

というかそれくらいしかない。



先ほどまであったマイケルの騒ぎのピリついた空気も薄まった頃、部屋ではまたデルガドが自分の胸を手のひらで叩きながらリズムを刻んで歌い出していた。


ドンっっドンっっドンっ ドンっっドンっっドンっ (ずーーっとミックス)



こーゆー風に歌い出すやつは大抵そうだが、目が合ったらもう離さない。

俺をロックオンしたら、もうずっっと俺に向けて歌ってくる。


俺が歌えると知ってから尚更、デルガドと目が合った瞬間にはもうそのフィールドに立たされている。



ここはデルガドの部屋だからな。



ちょこちょこ一緒にノリながら、合いの手を入れたりして聴く

適当なタイミングで俺も乗っかって、俺も歌い出す。


こういう普段のdeejayとのやりとり、ラフなセッションが何より為になったりする。

deejayとはlifeなんだな〜と実感する瞬間でもある。


カバー、サンプリングで口ずさんでみたり、自分の日本語で歌ってみたり、Don't be afraidとか英語のパートがある歌を歌ってみたり、、、


そこでNo painも歌ってみた





デルガド

「なんか聴いた事ある? メチャええな!!

   あああーあああーああ〜🎶」




「俺は日本では有名なアーティストなんだ。

Sizzlaと一緒にこの曲のリミックスを出してるんだ!MUSIC VIDEOもあるから、ここから出たらYouTubeとかでチェックしろ!!」





ここぞとばかりに自分を推しに推した。


ジャマイカでは自分を主張出来なければ生きていけない



「ボンボクラーーーっっ!!」



興奮したデルガドはもっと歌え!もっと歌え!!

と言って胸を叩き続けた。

 



結局フルコーラスで3回は歌った。

細かいのも入れたら20回以上歌ったんじゃないだろうか。

その間A豪の奴達が次々にこの部屋に来て、覗きながらその話しを聞いては


歌え!歌え!!


それを聴いては


ガッッシャン!!ガッッシャン!!!鉄格子を叩いて鳴らしながら

Pow!!Pow!!! Yooooo!!  ◯×△□ーーッッ!!!


それぞれ個性あるガンフィンガーの発声音が鳴り響き盛り上がる!!プロップ!!

コマゲン!!!!っていうのをずっと繰り返す。

確変大連チャン状態だった。




ジャマイカの鬼Bussを体感した。



牢屋の中で。



まるで爆発だ!

何度も鳥肌たった。





このジェイルの中に、みんなで音楽を聴ける環境はない。

携帯を持ってる奴だけがイヤホンでラジオを聴ける。

携帯を持ってるのはこの中でもスクリーチを含めて2〜3人だ。



普段、昼間は まさにお経のように鳴り止まない、やめないデルガドの歌を永遠と強制的に聴かされていた皆んなからすれば、俺の歌が新しい娯楽でもあり、息抜きになったのかもしれない。



デルガドと俺がいる部屋に集まってきて、笑顔になっていた囚人達の間から  スクリーチが小袋を俺に差し出した。






褒美だ。






嬉しい。





元は俺が押収されたやつが巡り巡って、牢屋の中で自分の元に戻ってくるとは。

ありがたみと味わいが増す



音楽で、自分で歌ってHappyをこの中で作れたらいいんだな。


なんだか少しだけここに馴染めた気がして安心した。





部屋のベッド兼ベンチに腰掛け、頂いた褒美をほぐしながら思い返してみると、今回のジャマイカ旅は本当に色んな事があったし、曲も色々出来た。



日記もつけていたし、少し振り返りながらジャマイカの生活、政策秘話なども思い返しながら時間を潰そう。


(昔メルマガではここから旅全体、約半年分の曲にまつわる体験談とか色々書いてるが、このブログではジェイルの事だけにしておく、また機会があれば)




このジェイルに入る前

今旅でジャマイカに着いてすぐ、1番最初に書いた曲がこれ


Life goes on






導楽という名前に恥じないよう

導かれたなら味わって楽しんで生きないとな!!



このジョイントを燃やして自分のストーリーを繋いでいこう。