小説指原莉乃リライト 第八章 「セクシュアル マイノリティ 」~ 私達は性的少数派 | 散り急ぐ桜の花びらたち~The story of AKB.Keyaki.Nogizaka

散り急ぐ桜の花びらたち~The story of AKB.Keyaki.Nogizaka

小説家を目指しています。ゆいぱる推し 京都地元大好き 鴨川のせせらぎと清水寺の鐘の音の聞こえるところに住んでいます。



こんにちわマナです
気がつけばもう1月も終わり、ほんとに早いですね時の過ぎ行くのは
冷蔵庫を見れば、数の子だの棒鱈だの鯛の旨煮だの伊達巻だの
お正月に向けての年末解放戦線の戦利品の残骸がまだうず高く積まれているというのにw 食べれるのかなまだ(汗)(笑)
まそれはお腹と相談して後々片付けていくとして(食べんのかいw)
昨日の秋元先生が出演したまつもtoなかい、これは神回でした。
ニノさんの自由奔放なキャラが崩壊して弾けちゃって秋元さんのいつもの名言は目立たない回にはなったんだけど2人の素敵な関係性を伺い知れた貴重な番組になったと思います。
次回からタイトルも変わって「だれかtoなかい」すっごく良いw💓
フジのいつもの日和見もこの松本さんを切っちゃう見切りの速さは褒めても良い。次から楽しみですね、まつもとtoなかいは全く見てなかったけど
ピンで一人突っ込んで喋くる中居さんはほんとに面白いのでこれからはマストで見ることになるでしょうね
「ニノは置いとくから」秋元さんの言葉も粋だったよね(笑)

ということで前説はこのぐらいにして本題、
今回はそんな秋元先生を恐れ多くも長々と語らせてしまっています
そんなメッセージが失意の由依総監督にどう響くのか
今回の読みどころはそんなところです
ではではご覧くださいませ🙏💕



          
      
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京都の夏は祇園祭が終わるともう中盤、季節は駆け足で通り抜けて行く。大文字の灯りが京都五山の夜空を焦がすころには京都の人々はいそいそと秋の準備に取り掛かる。京都人はせっかち、人々の身支度と身じまいの速さは京都千年の都を生き抜く知恵でもある

 

「夏を過ぎればもう戻られへん」

それは母にだけ打ち明けた由依の引き裂かれるような胸の内。センテンススプリング。あの日からもう一か月が経とうとしていた

 



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京都の北東、東から流れ込む高野川、西から流れて来る鴨川、その間に挟まれるように存在する、三角州、通称鴨川デルタ。その北方に位置する今なお太古の面影を残す糺(ただす)の森。

そこから西へ車で10分程のところにあるのが京都太秦撮影所。

渡辺麻友は前日からそこで日米合作映画「OUT OF THE OHOKU」の撮影の為、京都に来ていた。



「明日会える?由依ちゃん」


昨日、麻友から届いたメールは撮影の合間なのか簡単そのもの。
元々、字数の少ないまゆゆメール、絵文字だけで返してくることもさして珍しくない。

「ホテルは何処、麻友さん」
「リーガロイヤル」
「じゃあ、糺の森で。すぐわかるよ、有名だから」
「浴衣で行くよ」
「じゃあ私も」


糺の森は由依の森。この森はいつだって、由依を優しく受け入れてくれる。何かあると足は自然とここへ向いている。森の中を流れる小川はいにしえのまま。そこに足をつければ森がささやき、話しかけてくる。木々を吹き抜ける風は神々の命の息吹きを伝え、緑の隙間から漏れる光は神々しくも美しく由依の心までをも照らす。ここは自分を一番自分らしく感じられるところ。折れた心も萎んだ夢もここに来れば何とかなる。由依はいつもそんな思いでここに足を運ぶ。由依が感じるもの、それはいつも同世代より一歩下がったところにある。秋元康をはじめ大人たちがついつい彼女に目がいってしまうのは、彼女のこんなところに理由があるのかもしれない。


「由依ちゃん、どこかでちゃんと座ってしゃべろうよ」

風に吹かれて乱れた前髪を、少し気に留めながらも、麻友は微笑みを浮かべてそう言った。

少し前を歩く由依が振り向きながら手を口に当てて叫ぶ。
「 わらび餅とぉ、抹茶善哉ならぁ、麻友さんはどっちが好きぃ~!?」

うきうきしていた。何日ぶりだろう、こんなに心が弾むのは。
あの日以来忘れかけていた笑顔が由依に戻っていた。

あの日。それは誰にも言えない由依とまゆゆだけの修羅場。
渡辺麻友はあの時、大島涼太とは何の連絡も取り合っていなかった。

由依と朱里が大島とテニスへ行くことを知り、ひとり彼の帰りをリーガロイヤルで待った。人目を避けなければいけない彼女、けれど麻友は大島の部屋の前で彼を待った。極めて高いリスクを承知の上で。砂漠でダイアモンドを見つけるに等しいまゆゆのオフ日。
多忙の大島と会うにはこの方法しか思いつかなかったのだろうか

 

いつだって一途なまゆゆ。思い込むほどに周りが見えなくなる、それは彼女がAKBの頂点を極めた今でも変わることはない。

元々、まゆゆと大島は何もない。ただの彼女の憧れ。一方的な思いを相手に無茶ぶりするのはいつもの事。まゆゆの恋愛形がいびつなのはもうAKBでは知らないメンバーは誰もいない。

けれど、横山はその日はじめてまゆゆと向き合う。それは横山由依が渡辺麻友にはじめて見せた総監督の姿だった。
動こうとしない麻友を横山は彼女の胸ぐらを掴み、非常階段まで引きずっていった。
一言も弁明しないまゆゆに横山は精一杯自分の想いをぶつけようとした。

「総監督なんて、やめたら、由依ちゃん」
そんな言葉を吐くように残して、渡辺麻友はリーガロイヤルの20階からルブタンの10センチヒールを手にもって、シャネルの真っ赤なドレスを引きずりながら、裸足でひとり非常階段を下りて行った。

それが7月のある日の由依と麻友の出来事。

 



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「うん、やっぱり京都、こんな抹茶善哉食べたことない」

上賀茂神社の境内の茶店、赤い毛氈が敷かれた縁台に浴衣姿のまゆゆ。あまりにも定番過ぎて思わず笑みがこぼれる。ずっとずっと眺めていたい私だけの渡辺麻友がここにもいた。

「由依ちゃん、怒ってない?」
「えっ」
「本当は怒ってるんでしょ、私のこと」
「ううん、もう私は・・」
「いいのよ、気を使わなくて。

私はいつもこうだから。人に迷惑ばっかりかけてて、
自分は関係ないみたいな顔して、そのうえ自分が1番だと思ってる。」
「麻友さん」
「でも、私は謝らないよ。謝れないのよ。わかってるよ、みんなが私の事をどう見てるのか、どう思ってるか。でも、どうしてもだめなのよ。だって、これがわたしだから、私は渡辺麻友だから・・これもそれも全部がAKBのまゆゆなんだよ、わかる?由依ちゃん」

 そう言って渡辺麻友は由依から顔を背けた。

涙は流れてはいなかった。泣かないまゆゆ。彼女の流れる涙を見たものはAKBにはいない。だから、私たちはまゆゆの悲しみをいつも推し量る。まゆゆの悲しみはいつも瞳の奥にある。

 

「由依ちゃんって、経験あるの?」

 

鼻をすすりながら渡辺麻友がそう聞いた。

あまりに唐突すぎて由依は言葉も出ない。

 

「私はあるわ」

 

聞いてはいけないことを由依は聞こうとしている。

それはAKB48の聖域。

 

「麻友さん・・」

それ以上、返す言葉が見つからない。

「話したのよ。この前、同じことを、さしこにも。」

「さしこに?」

「うん、なんとなくだけど、そういう話になっちゃって。

さしこは言ったの、わしたちはある意味セクシュアルマイノリティだって。

性的少数派という意味よ、わかる、由依ちゃん」

小さく首を振った。意味は分かるけど、残念ながら議論するほどの知識も経験も持ち合わせていない。

「でね、言葉は悪いけど、AKBは異常者の集まりだって。だから、なんとかしなくちゃあって、

そういうのよ、さしこは」

「・・・ 」

 

「私も、もういいかなって、思うったりするのよ、この頃。

さしこの考えはちょっと偏りすぎだけど、でもそろそろ私たちは本気で自分たちに向き合わないといけない、なんでも言えて何でもできる。そんなAKB。それを考えないといけない。そんな時期が来てる。

そう思うのよ、由依ちゃん」

わかるような気がした。抽象的なまゆゆの言葉が具体的な形を伴って由依の心に突き刺さる。

「さしこがアキバでやろうとしてる事、それに賛成なんだよね?、麻友さんは」

小さく頷く、麻友。

「知ってたの?」

「これでも一応総監督やから」

「そっか」

そうだよ総監督なんだよね、、とそっと囁くように麻友。

 

「あーっ、忘れてた!」

「なに、麻友さん」

「秋元先生から総監督への手紙!やっぱりバカだわ私、一番大事なこと忘れてる」

 

 そこにはしばらく見ることのなかった手書きの懐かしい文字が並んでいた。

 



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──横山へ


郵便で出そうと思ったが麻友が持って行くときかないので彼女に託すことにする元気なのはお母さんから聞いている。毎日ご飯はおなか一杯食べてるので心配しないでください、そうお母さんがこの前電話で言われていた。逆に太りすぎなのを心配しておられたぐらいだ(笑)  京都の風はやはりおまえには心地よいのかもしれないな。

けれど、いつまでおまえはそこにいるんだ?そこでお前の夢はかなうのか? なにより、お前の背中を見ている子たちの夢はどうする?お前が預かったみんなの夢はどうするんだ、横山。 

アキバの冷たい風も心なしか凪いできたようだ。そろそろ顔を上げろ。

そして、麻友もゆるしてやれ。

 おそらく今一番落ち込んでいるのはまゆゆだ。無論、自分のことでではない。お前を思ってのことだ。 まゆゆだけじゃないみんながおまえを思っている。毎日おまえのことを考えている。AKBは横山が思っている以上にタフで人間的だ。一人や二人が転んでもビクともしやしない。誰かが拾い上げて、誰かが救い上げて、みんなで手を携えて、また立ち上がる。そして前を向きまた前進する。それを今までAKBは何度となく繰り返してきた、これからもそれは変わらない。

ただ・・横山のいないAKBは思っていた以上に寂しい。メンバーすべての気持ちは今、横山とともにある。大げさではなく今AKBは悲しみのなかにある。だから、もう、戻ってこい、横山。みんなの声はもう十分お前には届いているはずだ。帰ってこい、総監督、みんなが待ってる。

 

                    ──秋元康

 




「由依ちゃん・・・}

 

顔を上げれなかった。

涙がポトポトポトポト、音を立てて抹茶善哉の上に弾けて落ちた。

メンバーの顔がひとりひとり頭の中に浮かんでは消えていく。

朱里,末姫,奈々、まっこじ、ぱるる ゆりあ。

彩姉からの写メは何故かいつも怒ってた。涙の絵文字ばかりが並ぶまっこじのメール、ぱるるからは朝昼晩毎日の無言メールが届く。

未姫のメールはいつも意味不明、何が何だかわからない。

けれど、どれもこれも苦しいほどに私の心にひびいていた。


「みんな、みんな、毎日、毎日、メールくれるのに・・何十通も何百通もくれてるのに・・。私は・・私は・・ 」

 

突然、麻友の頬が由依の頬に重なる、体じゅうに広がるシャネルのサムサラの香り。麻友は由依の悲しみをしっかりとその体で受け止める。

 

「あなたが想っている以上にAKBはあなたを想っている、

そういうことよ、由依ちゃんしあわせなのね、あなたは・・

ちょっとうらやましい 」

 

顔を上げると、糺の森の新緑の若葉が目の前に拡がっていた。森の奥から抜けてくる風は初夏とは思えないほど由依には心地よかった


「糺の森かぁ、いいところだね。今度は彼と来ようかな」

「麻友さん!」

「うそよ、うそ。ふふっ}


不思議な人だとつくづく思う。原因は何であれ結果、私は彼女で救われた。

良くも悪くもAKBはこの人を中心に回る、おそらくこれからも。

 

さぁ、帰ろう 東京へ 秋葉原へ 胸を張って みんなが待ってる

   わたしは二代目AKB48総監督 横山由依

 

         



             𓂃𓈒𓂂𓏲☆.・𓂃𓈒𓂂𓏲☆.・








~to be continue