小説指原莉乃リライト 第四章 「センテンス・スプリングなんて」 由依総監督にまで文春砲が・・。 | 散り急ぐ桜の花びらたち~The story of AKB.Keyaki.Nogizaka

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小説家を目指しています。ゆいぱる推し 京都地元大好き 鴨川のせせらぎと清水寺の鐘の音の聞こえるところに住んでいます。

 






 

「第二位 総獲得票数十四万四千五百四十四票! AKB48 ・・・」

AKBの名前が徳光和夫によって読み上げられた瞬間、指原莉乃のAKB48選抜総選挙、連覇が決まった 二位のまゆゆとの差は5万票の圧倒的な勝利。もう彼女に並ぶ者どころか後を追う者さえいない。

新潟ハードオフエコスタジアムになびく初夏の風は何処までも指原莉乃に優しく心地よいものと思われた。

 

けれど・・・

「そろそろ終活を始める時期かもしれない」 

選挙後、親しいスタッフに彼女はポツリとつかえていたものを吐き出すようにそうつぶやいた指原莉乃。 

その姿はAKB総選挙前人未踏の2連覇を達成した女王のそれではなかった。

 

 

 

 

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「信じていいのね、さしこ」

 

第一位 HKT48 チームH指原莉乃!、

新潟の夜空に響きわたった、司会の徳光和夫の声はまだまだ私たちの記憶に新しい。

新潟ハードオフエコスタジアムになびく初夏の風は何処までも指原莉乃に優しく心地よいものに思われた。

 

あれから一週間、指原莉乃はスタバのテーブルの上に置かれた一枚の写真を前にAKB総合劇場支配人、茅野忍と向き合っていた。 


東京吉祥寺のスターバックス、他のところに比べて利用客の年齢層が比較的高い。その為、店内はゆったりとした時間が流れ、吉祥寺の下町の風情が感じられる、落ち着ける癒しの空間を作り出していた 都心のスタバには珍しい緑で溢れかえる中庭には緑亀と錦鯉が池で戯れながらその小さな世界を共有していた。

 

──ここだけは何も変わらない

 

指原は心が落ち着かないときはここにやって来る。 

いつもキャラメルマキアートの優しい香りと周りを取り囲む溢れかえるような木々の緑が覗き込むように指原を迎えてくれる。

 

──博多へ初めて行く前の日もここへ来たんだ

 

その日はマキアートを3杯もお代わりしながら、ただただ、日向ぼっこをする緑亀を半日見つめていた。 

 

「お前はいいよな、安定だもん」

 そんな言葉をあの日、何回つぶやいただろうか。 

勝負をかける逆転力なんて人生一回もあればいい、安心安定が大好きなんだよ、私は。指原莉乃が本当に望むもの、それがこの吉祥寺のわずか5坪ほどの中庭にあるように彼女には思われた。

 

今日もあの日と同じように中庭から吹き抜ける風は微かなマイナスイオンを感じさせながら、新緑の初夏の香りを店内に運ぶ

けれどそんな指原のお気に入りの中庭からの涼風もいつものキャラメルマキアートの芳醇な香りも今日の彼女には心躍るものではなかった。

 

センテンス-スプリングなんて もう私には縁がないものと思ってた
書かれるほうが脇が甘いのよ、なんていつも言ってた

 

けれどその写真はどうみても指原莉乃そのもの。

高級マンションから出てくる一人の女性、かぶっているChampionのキャップ、それはたかみなからのプレゼント。 小顔効果を狙ったつもりのウエリントンのメガネは初めてのハワイで買ったもの、いくら変装していても、それは私に違いなかった。

「で、あんたはどうすんの このままダンマリ決め込むつもり?」
テーブル挟んでいても茅野忍の顔の圧は半端なくすごい。
何もやっていなくてもつい謝りたくなってしまう。

「ねぇ 聞いてんの 私の言うこと」

「・・・ ・・・」

「言っとくけど、あんたのキャラじゃあゆきりんの時の様にはいかないわよ」
んなことは言われなくてもわかってる、喋ってなんぼの私。そんなことしたらものの三日でつぶされちゃう。

「美味しかったのよ、あの日のお酒は」
思わず漏れた指原のその言葉は新緑のざわめく木々の音が打ち消していく。

番組の打ち上げ、みんなで飲んだお酒はいつもより良く回った。
さしこの時代はまだ終わってない、そんなみんなの声があの日以来、しっかりとかけていた指原の心の鍵を緩ませたのかもしれない。

 

朝、気がつけば私はKのマンションに寝ていた。

だれもが認める国民的アイドルグループSのカリスマ的存在K・T。
渡辺麻友も峯岸みなみもみんないると勝手にそう思ってた。
けど、「結果、ふたりきりになっちゃってたんだよね」

それでも、まだ私は高をくくってた。みんなで行って帰るのが一人になっただけ やましいことは何ひとつない。 神様だって、仏様にだって誓ってみせる。

だいたいKさんが私をどうこうしようと思うはずがない。 

そもそも女と思われていない。 

だって泣く子も黙る指原さしこなんだよ私は。
 

そんな私の心を見透かしたように茅野忍が言う。

「考えたら分かりそうなもんだけどね 馬鹿だね 文春も」

「そう思うんならほっとけばいいじゃない」

「それがそうもいかないのよ、さしこ」
もう一枚あるらしいのよ、茅野忍は私の視線を避けるようにそう付け加えた。

 

「もう一枚?」

「そう、正確に言うともう一人の写真・・」
彼女から聞かされたのは思いもしない名前だった。

 

 スキャンダルとは無縁のあなたのスキャンダル。AKBそのものの存在意義を問われるかもしれない。 最もそんなことはしない人。 

いえ、してはいけない人と言ったらいいか。

でもね、私は驚かないよ、分かっていたのよ私は。

頑張りすぎる貴女の危うさを、

こころの隙間を埋めてくれるのは女同士では無理・・
正義の使途、横山由依も所詮、女だということを。

 

 


             𓂃𓈒𓂂𓏲☆.・𓂃𓈒𓂂𓏲☆.・