『Face down』の続編です。

最初のおはなしはこちら → 



☆★



僕の住んでいるアパートからどんどん人がいなくなっていく。
老朽化したアパートの建て替えのための立ち退き、っていう理由。

僕ももちろん立ち退きをを迫られてる。
もちろん、引っ越し費用とそのための初期費用の負担はしてもらえる。
・・んだけど・・・毎月の家賃がこの近辺では僕の手に負えない。
ちょっと離れたところでも、おんなじか・・もっと手に負えない。


引越し先が決まらないまま・・・
立ち退きの期日が迫ってきている。

このままだと・・・露頭に迷う。
いざとなったら、バイト先に荷物置かせてもらえるから。
ゆっくり探すしかないかな・・って・・考えてる。


はぁ・・ってため息しか出ない。
店長がこっちを向いた。

「どうした?ため息ばっかりついて」

「住む場所がなくなる危機なんです」

「あ〜立ち退きの・・・・まだ決まんないの?
少しずつでも、ここに荷物運び込んでおいたら?
一気にはできないでしょう?」

「はぁ・・お言葉に甘えて・・・そうさせてもらうかもしれません」

「不動産屋に安い部屋紹介してもらうと、わけありが多いからなぁ。
あんまりオススメはしないけど。
大野さんは見た目によらず、肝っ玉が座ってるから平気かな」

「それって・・・両手を前に垂らした女性とか・・出るってこと?」

「そんな部屋もあるみたいだけど・・・
たいていは人が死んだ部屋だって。
孤独死だったり、自殺だったり、中には殺人事件の起こった部屋とか」

「そんなの気にしません。
僕とは無関係ですし・・霊感もありませんから」

「言うと思ったよ。
そこらへんだよね、肝っ玉が座ってるってのは。
ボーっと頼りない感じなのにね。
まあ・・そんな部屋に手を出す前に、もっと誰か頼ってみなよ。
不動産関係ってのは、結構、コネが使えるんだよ」


そんなこと言うなら・・店長が誰か紹介してください!