Face down 1

「はい、こちらA&Aセキュリティ・ショップです。
ご依頼は解錠ですか？
解錠して欲しい場所のご住所と携帯の番号を・・はい。
それと、身分証明書を準備してお待ちください。
今なら・・そうですね・・20分くらいでお伺いできるかと思います」

僕は電話を切った。
真夜中の依頼は多い。
鍵をどこかで落とした、という人が多いから。
だいたいは酔っ払ってる。

さ・・・店長に連絡して、行ってもらわないと！

夜中は店長は自宅待機して、依頼があったら、電話連絡で出動する。
電話の短縮ダイアルボタンを押した。

・・・事務所の中から呼び出し音が聞こえる。
まさか？・

一回切って、かけ直す。
やっぱり！
店長ってば・・電話ここに置き去りにしたまま・・・
帰っちゃったんだ！

マズイ！
お客様の依頼受けたのに！

どうすんだよ〜〜
店長の連絡先、携帯のしか知らないのに！！


固定電話なんてない、って言ってたから・・・
連絡はもう取れないと思ったほうがいい。
お客様に、断りの連絡を入れないと。

代わりの業者を紹介するための資料を探しだして・・・


さっき連絡を受けたお客様に電話をかけた。
けど・・・・お客様にも連絡が取れない！
呼び出し音が鳴って、しばらくすると、女性の声のアナウンス。


どうしたらいい！？