【太郎Bと浜辺と老人】 | かわむらともこの「しなやか」な生き方ブログ

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ともこ流の
柔軟だけど芯はブレない
「しなやか」な生き方に
ついてゆるふわに語るブログです。


「今日も全てを出し尽くした。」



授業が終了し、疲労感を感じる以上に
中継地点を過ぎるランナーがごとく
もっと先へ、もっと先へ、
という軽い興奮状態であることは
否めない事実だ。





誰が何と言おうと俺は俺の手掛ける
『SM(ソーシャルメディア)学園』の
運営に一点の曇りもない。




なぜなら自分の使命(ミッション)、
心からの衝動に素直に行動している
からにほかならない。




生徒たちは迷いながらも前に
進もうとしている力を感じる。




自分は何も間違ってないんだ。




そんな自分の悦(えつ)にいった
気持ちとはウラハラに




“恐怖の課外授業”が控えていた。




いまや日本発、世界の娯楽へと
成長した『KARAOKE』だ。




いいか、おまいら。




歌は確かに素晴らしい。




人の心をひとつにする力も
もっているし

 


ときに歌が人の感情に訴えかけ、
歓びも哀しみも怒りすら
代弁してくれる




人の生活を豊かにしてくれる
ものであることは否定しない。









しかーし!







「歌」という形で伝えるのが苦手な
人間も居る、ということを
忘れてはならない。






マイノリティを駆逐するなっ!





















(全員無視!)





「タロさぁん!Facebookで
全世界に向けて白目発信してる人が
なーにいっちゃってるんですかぁ~。






(か、かわむらっ!)





卍固めをかましたい衝動を押さえつつ
冷静になれ。太郎。






「お、俺にとってはケツの穴さらす
方がまだマシなんだ!」




(ん?その表現でよかったか?)





逆説の比喩として
いささかの違和感を感じずには
いられなかったが





学園運営のパートナーであるハミオ氏が
アホ丸出しの
「クレヨンしんちゃん」がごとく
ケツの穴を今にもさらけ出そうという
恐ろしいまでにくそガキなリアクションを
もってしてリカバリーしてくれた。




かわむらが怪訝な顔をしている。




(天誅、じゃ。フフッ。)





っといったところで
課外授業から逃れるすべはなし。




俺は「アホ」になった。




あとは野となれ山となれと
いわんがごとく
「トランス状態」に入った。




『太郎B』の登場だ。




その後の記憶は確かではない。。。








ー翌朝。






研ぎ澄まされた「帰巣本能」により
我が家に辿り着いていることは
いつも通りである。





しかし。







携帯がない。。。。






昨夜の記憶?





もっと何かを忘れたくて、
『KARAOKE』後
お台場近くのラーメン屋で
浴びるように酒をあおったことは
微かに覚えている。





ラーメン、屋?に忘れた?





しかしながらラーメン屋には
携帯の忘れ物はない、という
ことだった。




少し携帯から離れろ、という
神からの進言かもしれないな。





俺は全てを受け入れるよ。




人間はそういう風にできている。




少しばかりセンチメンタルに
自分を省みていたところに




『お台場老人倶楽部』なる
団体より自分の携帯を拾得しましたよ。




という知らせが。。。




聞けばお台場海浜公園の
浜辺に落ちていたという話だった。





俺の携帯は俺の手を一旦離れ、
お台場の浜辺で月の光を浴び、
何を考えていたのだろう。




そうして『老人倶楽部』なる
ご年配者、という手を通じて
再び自分の元へと帰ってきた
意味とは。。。




『太郎A』でも『太郎B』でも
俺は俺でしかない。








離れる携帯。




ふたたび帰ってきた携帯。




老人という手を介して。。。

 


それはあたかも




「未来ある若者よ。ふたたびこの
携帯というツールを使って
世の中に明るい若者をもっともっと
排出していってはくれまいか。」





人生の先輩からの
俺へのメッセージなのではないか。。。




俺は手のひらの携帯をジッと
見つめる。




冷たい金属の塊でしかないソレは
ぬくもりをまとい今ふただび
自分の元へと帰ってきた。




俺はまだまだやれる。




携帯に耳をそばだててみる。




聞こえるはずもない
波の音が俺の鼓膜をくすぐる。




妙にあったかい気持ちになって
小さくほくそ笑みを浮かべる。




『さぁ。今日もいい1日にしよう。』




俺の『変態道』はまだ始まりに
すぎない。





左足の薬指と右手の人差し指が
突き指し青くなっていることは
記憶の彼方へ。。。





お台場の海は今日も静かに
さざ波をうっている。




ーto be continue









『妄想小説 【太郎Bと浜辺と老人】』
                                   かわむら ともこ




(この物語はフィクションであり、
実在の人物、団体とは一切関係ありません。)