彼の携帯は2台。
1台は仕事用、そしてもう1台はプライベート。
ロックがかかっていたが私は既にゴトーの携帯のロックナンバーなんて知っていた。
いつもロックを解除するときの手の動きでナンバーを把握していた。それくらい私はゴトーを愛しているのだ。
まずは仕事用。
発着信履歴を確認した。
仕事の電話に私がしつこくかけた着信履歴。
もちろんその電話はとられたことなんてない。
そしてメール。
私のメールは頻繁に消しているようで最近のしか残っていない。
(まぁ、ウザくてキモいくらいだから消されて当然か。)
私は意外と冷静にそう思った。
そして肝心のプライベート携帯。
まず驚いたのは彼はLINEをしていた。
もちろん私にはLINEをしていない、と初めから伝えられていた。
発着信履歴の確認。
何やら1人の女性の名前が目立つ…。
とうとう私はLINEを開いてしまった。
そこには発着信履歴にもあった女性の名前が、
そして、子供の写メが送られていた。
「今日の◯◯ちゃんだよ」
写メ添付
「可愛いなぁ~」
「当たり前じゃん、私たちの子供なんだから~」
ゴトーは結婚していた。そして子供もいた。
薄々感じてはいたが、確信を持てることがなかった。
何度かゴトーに結婚しているか聞いたが上手くはぐらかされていた。
(やっぱり結婚してたんだ…)
まず、名前もゴトーではなかった。
なんならゴトーでもイトーでもシノダでもなかった。
(3つも名前使い分けてたのかよ…)
むしろ感心した。
悲しい気持ちを抑えながら最後にこの携帯で私が何という名前で登録されているのかを確認したかった。
(どうせ男の名前で登録されてるんだろうな…)
ゴトーの携帯に私の番号をうち込む。
08039......
ドンキホーテ西新店
私はドンキホーテだった。
私はドンキホーテ西新店だった。
男の名前どころか、人間の名前ですらないドンキホーテ西新店だった。様々な店舗がある中私は西新店だった。
私とゴトーはドンキホーテ西新店には行ったこともない。
しかし、私はドンキホーテ西新店としてゴトーのプライベート携帯に登録されていた。
私はドンキホーテ西新店だったのだ…
私はゴトーにとってドンキホーテ西新店でしかなかったのだ…
その日から私は着信拒否をしてゴトーとの連絡を絶った。
もちろんそれ以降ゴトーとは連絡をとっても、会ってもない。
未練はない。
ただ一つ心残りがある。
ゴトーのプライベート携帯にドンキホーテの他の店舗が登録されているかどうかなど、もう確認のしようがないのだ。
クサラブ
fin.