このボックスでいうとディスクCの中盤、1945年に入ってからぐらいで、ルイ・ジョーダン&ティンパニー・ファイヴの音楽はグッとステージが上がる感じがする。メジャー感が出てくるというか、「ルイ・ジョーダンという大スターの音楽」が確立された時期に思える。ジャズとブルーズと白人ポップスがいい感じで融合している。
チャック・ベリーに多大な影響を与えた名手カール・ホーガンがギターとして加入、そして後にオルガン奏者としても有名になるワイルド・ビル・デイビスがピアノと(おそらく)アレンジ担当としてこの1945年にバンドに加入したことも、ティンパニー・ファイヴのレベルアップにつながったとも思われる。この二人は南西部のジャズ出身。そのあたりとジョーダンの音楽の関係を考えるのも楽しいかもしれない。
アメリカ黒人音楽の歴史上の巨人であることは間違いないのに、ルイ・ジョーダンについては(中村とうようさんや吾妻光良さんなどのジョーダン愛好家はいるが)、とにかく書かれたものが少ない。参考にできる評論などがほとんどない。完全に無視をされている。と言う自分も先日書いたこの作品(ライヴ盤)と、今回このボックスをちゃんと聴いたことで、初めて心の底からルイ・ジョーダン好きになったのだが。ということで、不定期ですが、ルイ・ジョーダンについていろいろと今後書いていきたいと思います。
あと、当時の白人ポップスのヒット曲との比較も、ジョーダンの音楽の魅力を探求するうえで有効かなと思う。
エラ・フィッツジェラルドとジョーダンのデュエット「ベイビー・イッツ・コールド・アウトサイド」(1949年)。同じ年に白人歌手のマーガレット・ホワイティングとジョニー・マーサーが歌っている。マーサーはルイ・ジョーダンの最大ヒット曲「G.Iジャイヴ」を作った白人ソングライター。そんなことを考えながら聴くといろいろ面白い。(後藤敏章)
