「デトロイト」という映画が公開されている。1967年アメリカのデトロイト暴動渦中に起きた「アルジェ・モーテル事件」を描いた作品だとのこと。立川でも上映されているのでこれは観にいこうと思っている。
昨日ブルーレイで観たドキュメンタリー映画「永遠のモータウン」でも、デトロイト暴動の場面が登場する。
2002年の作品。原題は“standing in the shadows of MOTOWN”で、こちらのタイトルのほうが映画の内容に合っている。1960年代から70年初めのデトロイトのモータウン・サウンドを実質的に作り出しながらも、当時の世間では無名だったスタジオ・ミュージシャン「ファンク・ブラザーズ」が主役の映画。マーヴィン・ゲイもスティービー・ワンダーもスモーキー・ロビンソンも、その姿はちらりと登場するぐらい。モータウンの「影」と彼らが創作した音楽の魅力が濃厚に描かれる。
ファンク・ブラザーズはほとんどがデトロイトの地元の黒人ジャズ・ミュージシャン。クラブでの前夜のセッション中に出てきたアイデアを、翌日モータウンのスタジオ「ヒッツヴィルUSA」の録音で使うこともあったという。
サウンドの中心はベースのジェームス・ジェファーソン。「唯一無二」「彼の頭の中では周りと違うリズムが鳴っていた」と、映画でもその個性を絶賛されている。すべて指一本で弦を弾いていたとか、「ホワッツ・ゴーイン・オン」の録音では酔っぱらっていたので寝っ転がってベースを弾いたとか、エピソードもなかなかしびれる。
ネタばれで書いてしまうと、映画のエンドロール最終部分で、ジェームス・ジェファーソンのジャズ・コンボの古い放送録音が聴ける。ウッドベースでモダン・ジャズをやっている。ジャンルは違っても、音の太さと強さは変わらない。この映画で一番盛り上がった場面かも。
ベニー・ベンジャミンのドラムのピックアップ(音の出だし)がいかにユニークかを実演で説明したり、ファンク・ブラザーズはアフロ・キューバンのリズムをデトロイトの女性ダンサーと共演することで学んだという回想があったり、けっこうマニアックな音楽話が多い映画。60年代ぐらいまでのアメリカのジャズとR&Bとポップスの関係をイメージするのにも参考になる。あと、モータウン聴くと耳に残るタンバリン、あれ専属でやっている人がいたんだということも初めて知った笑。 (後藤敏章)
