「ブルースの女王」を観る。 | 国立(くにたち)昭和大衆音楽同好会

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昭和(1926〜1989年)のジャズ、ブルース、ラテン、ロックなどの音楽を独断と偏見で紹介!

 連休も中盤。お仕事ある方、お疲れ様です。こちらは例年通り?特に遠出もせずダラダラと家にいます。

 今日は「ブルースの女王」を観る。アメリカのテレビ映画で2015年制作。1920年代~30年代に活躍したアメリカ黒人歌手のベッシー・スミスの伝記ドラマ。

 

 

 “クラシック・ブルース”などと呼ばれる、黒人女性歌手がジャズのバンドをバックに歌う1920年代のアメリカのブルースのスタイル。ベッシー・スミスはその“クラシック・ブルース”の代表格。例えばロックではジャニス・ジョプリンがベッシーに多大な影響を受けたりと、ブルースに興味がない方にも名前は知られているかと思う。(ちなみにこの映画の邦題は「ブルースの女王」だけど、ベッシーはたしか「ブルースの皇后」という肩書じゃなかったか、何でもよいですが笑)

 

 1920年代のアメリカ黒人音楽シーンのリアルなところがとても伝わってくる映画。充実したライヴの再現シーンはもちろん、劇場やレコード会社とミュージシャンのギャラ交渉の場面、ダンサーやコーラスのオーディション、酒がからんだ暴力沙汰、ツアーの専用車(ベッシーは専用列車を所有していた)などなど具体的な描写がたくさん。レイス・レコードや、KKKのライヴ妨害などの人種差別の話も出てくる。

 

 個人的にこの映画で最も印象に残ったのは、ベッシーの師匠マ・レイニー(画像左)。演じた女優さんの快演もあり、存在感が一番あった。芸能としてのブルースの酸いも甘いも知り尽くし、それでいて熱く人間らしく信念を持って生きた(んだろうな)というレイニーの生き様が伝わってきた。映画ではなく実際の音源聴いても、自分はベッシー・スミスよりもマ・レイニーの豪快さに魅力を感じて好き。

 

 ぶっちゃけ、ストーリーはいささか性急というか、もうちょい深く丁寧に描けたんじゃないかという不満が残る映画だったが、上記のマ・レイニーや20年代のアメリカ黒人音楽に少しでも興味ある方だったら、観ておいて損はないかと思います。

 

 以上、平成最後の日とは全く無縁の投稿でした笑。新元号のもとでも、好き勝手にいろいろ聴いて書いていきたいと思います!(後藤敏章)