映画「永遠のジャンゴ」を観る。(ジャズ100年のおすすめその5) | 国立(くにたち)昭和大衆音楽同好会

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昭和(1926〜1989年)のジャズ、ブルース、ラテン、ロックなどの音楽を独断と偏見で紹介!

  午前勤務。仕事終わり、中央線に乗り新宿へ向かう。新宿武蔵野館にて映画「永遠のジャンゴ」を鑑賞。今年発表されたフランス映画。

 

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  ジャンゴ・ラインハルトの生涯を単に描いた伝記映画ではなく、1943年ナチス・ドイツ占領下のフランスでのジャンゴに焦点を絞った内容。

  

  ナチス・ドイツのレイシズムの犠牲になったジプシー(ロマ)の人々の悲劇。その歴史の事実を知ることができるのが、この映画の重要なところ。ナチスによる虐殺やジプシーの家が焼かれたりなどの心が苦しくなる悲惨な場面、ジャンゴがナチスに追われるなど緊迫した場面も多い。また、ドイツの将校がジャンゴを「あんなサル」と呼んだり、ドイツ人の医師が動物にするようにジャンゴの頭のサイズを測り、遺伝的にジプシーは劣っている人種なんだと見下ろしたりと、ナチスの人種差別的な思想が分かる細かい描写もある。現在の世界の動きのなかで、こういう映画の役割は大事だと思う。

  

  ジプシー音楽とジャズを融合した=ジプシー・スウィングと称されるジャンゴの音楽だが、ジプシー側の方も映画ではきっちり描かれているので、自分のようなちょっとしかジャンゴを聴いたことのない人間にとってはジャンゴの音楽の性格を少しだが捉えられるきっかけになったかもしれない。ジャズを知らないジプシーのギタリストに「指の細かい動きは気にしないでいいから」とジャンゴがスウィング感についてアドバイスをしていたのが興味深かった。ちなみに登場するジプシーは役者ではなく本当のジプシー(ロマ)の人たちだとのこと。

  

  物語の最大のクライマックスは、ドイツ軍の有力者の別荘で行われるパーティでジャンゴのバンドが演奏する後半でのシーン。

  大衆を扇動するから、退廃しているから、また黒人の音楽だからという理由で、ジャズやダンス音楽をナチスは禁じていた。このパーティでも「シンコペーションは5%まで」(メチャクチャな要求っす笑)「ブルース、ブレイクする音楽はダメ」「一音一音監視している。もしルールを破ったらお仕置き。覚悟しておけ」というドイツ軍からの脅しがあったが、ジャンゴはある危険なミッションを達成するために、スウィング感バリバリのブルースを演奏し出す。軍人も含め参加客は興奮し踊りだす。

  この時のジャンゴのギターがほんとにもの凄い。超高速の運指と一音一音の力強さ、こちらの胸をかきむしるような音の爆発。もう煽りに煽る。暴力が目の前にあるところで、快楽的な音楽を奏でるという極限の矛盾した状況に、映画を観ている観客も、否応無しに引き込まれる。

  

  生き生きした演技の役者も良かった。パリの地下パーティでキャブ・キャロウェイをかけながらみんなが踊るという戦前ジャズ好きには堪らないシーンもあった笑。ジャズ100年のおすすめとしても兼ねて、この映画おススメいたします!(後藤敏章)