まだまだ語りたりないので、もう少しお付き合いください。
ネタバレはありますので、ご注意ください。
雑誌でもなんでも光くんは相葉さんそのものの役と言われる。
確かに「はまり役」ではあるけれど、相葉さんそのものとは思えなかった。
でも、光くんは、漫画家を夢みる書店員。
気が弱くて優柔不断で、「すみません」が口癖でいつも頭を下げてばかり。
いつも幼馴染の杏奈に助けられている。
自分の分身であるデビクロくんが、負の感情をすべて担ってくれているので、
光くんには負の感情がない。
子どものような純真無垢。
こんなおとぎ話の登場人物のような役柄を演じられるのは相葉さんしかいない。
主人公である光くんのキャラクターに現実味がなければ
物語すべてが薄っぺらい嘘くさいものになってしまう。
だけど、相葉さんが演じることによって、
光がリアリティをもって、そこに存在している。
相葉さんそのものとは思わないけれども、
犬童監督が常々語っているように、
相葉さんじゃなければ、演じられない役だと思う。
ただ、相葉さんも純真無垢と言われるけれど、光のそれとはちょっと意味が違う。
光は、人間の嫌なところ、汚いところを排除した結果の純真無垢だけど、
相葉さんは、それらすべてを内包したうえでの純真無垢。
そこには、光にはない強さがある。
光は受けの芝居と相葉さが言っていただけあって、
自分からのアクションは少ないけど、相手からのアクションに対する受けの表情がよかった。
特に好きなのは、北山とコミケで再会をした場面です。
ファンに囲まれてその場を去る北山から視線を外し、
捨てられていた自分の本を見つけた時の表情。
嫉妬、羨望。
普段の光にはない感情の現れた顔。
光は、闇を持たない子だけど決して闇がないわけではない。
闇が生まれた時には、ボムをすることにより、闇をすべてデビクロに引き継がせる。
光のこの表情からボムの流れが好きです。
アニメのボムの場面で、笑っている光の実写が映るんですが、
その笑顔は、気弱な光じゃないんですよ。
ちょっと悪いデビクロの笑いなんですよね。
そしてボムを終えた光は、いつもの穏やかな光に戻る。
基本的に、いつも笑っている光くんなんだけど、
この流れの時は、いつもと違う表情が見られるのがよかったです。
デビクロくんに変身した光くんがカッコ良かったので、
個人的にはもっとボムの場面が見たかったです。
あと表情で好きなのは、前記事①にも書いたんですが、
ラストの杏奈の作ったオブジェの映るモニターを見上げる場面。
想いの通じた杏奈の嬉しそうな笑顔ももちろんなんですが、
光くんの笑顔が、いつもの優しい笑顔なんだけど、いつもと違うの。
少しだけ自信がついたというか、一歩を踏み出した感じがよく出ているんですよ。
テレビと違って大きなスクリーンだし、
ながら見になりがちなドラマと違い、2時間集中して見るせいか、
相葉さんの表情の変化がとてもよくわかるんですよ。
朝日の中で、小鳥に餌をやる穏やかな笑顔。
運命の人ソヨンにあって、浮かれている笑顔。
幼馴染の杏奈に向ける心を許した笑顔。
ソヨンの忘れられない人が北山と知り諦めると言った時の笑顔。
光はいつも笑顔だけど、一つとして同じ笑顔はないんですよ。
その時その時の笑顔が、ちゃんと使い分けられているの。
そして、笑顔の違いで、光の心の中がちゃんとわかるんです。
マイガールの頃から、相葉さんはこうした表情のお芝居は、抜群に上手なんですよね。
それがスクリーンだとよくわかる。
犬童監督が、相葉さんにこんな役をやって欲しいと語ってくれているくんですが、
光のような100%の純粋人間を演じきったことで、
これからの役柄に広がりが出たように思います。
パブイメ通りのいい人や、そのまっすぐさで困難に立ち向かっていく役はもちろんだけど、
100%善人に見えるからこその「悪役」も見てみたいです。
これから相葉さんがどういった役を演じるのか、
とても楽しみにしています。