さくさく読書日記-プリンセス・トヨトミ

映画館で予告を見て、原作が読みたくなり、

普段は絶対手が出ないこの作家さんの本を読んでみました。


531日の木曜日、午後4時。

突如として大阪府で一切の営業活動・商業活動が一斉に停止した。

物語はそこから遡ること10日前、大阪に実地検査のために訪れた会計検査院の調査官3人と、

地元の中学校に通う2人の少年少女。

一見なんの関わりもない彼らの行動と共に描かれる。

会計検査院第六局所属の松平ら3人は、実地検査のため、大阪を訪れる。

そのリストの中に入っていたのは、謎の団体「社団法人OJO」。

しかし、期間中彼らはOJOの検査をできないまま一旦帰京する。

一方、空堀中学校に通う大輔と茶子は幼馴染。

性同一性障害を自覚した大輔はセーラー服姿で登校することを夢に見、実行に移すも、

それが原因で壮絶ないじめに遭ってしまう。

いじめに遭っている大輔を見た茶子は密かにいじめっこへの仕返しを企んでいた・・・。


この作家さんは、奇想天外な話が多いと思っていたので、

この本もちょっと私には敷居が高いかもって思ってましたが、とても面白く読み終わることができました。

早く映画が見たい!!

絶対ありえないお話なんだけど、もともと、私にとって大阪という土地自体が、

なんとなくミラクルなイメージなんで、ひょっとしたら本当にこういうことがあるかも?って、

思ってしまうような内容でした。

何の関係もない会計検査院の調査官と、二人の中学生の交錯する模様が見もの。

そして、とても大阪のお好み焼きが食べたくなりました。


映画はそろそろ公開だったと思います。

絶対見に行くぞ!!

たぶん、建物の様子とか、読むより実写の方が断然迫力もあるし、リアルだと思うので、

楽しみです!!




さくさく読書日記-阪急電車

連休中にW先輩とレイトショーを見に行ってきました。

この原作がとても面白かったので、実写で見たいと思ってたんです。


阪急今津線の車両内。

白いドレスを着て引出物を抱えた女性に、見知らぬ老女が声を掛ける。

一方、暴れる彼氏を前に動揺する若い女性。

降りる彼を追う彼女にもまた、老女が声をかけるのだった。

片道15分の電車内で繰り広げられる群像ドラマ。

乗客たちの目を通して、偶然同じ車両に乗り合わせた人々の人生を映し出す・・・。


原作に忠実で、とても楽しめました。

原作で気になったエピソードがやっぱり一番印象的でした。

中谷美紀さん扮する美しいOLが、地味で目立たない後輩OLに婚約者を寝取られてしまう・・・という話。

あと女子高生のカレシのエピソードもほほえましくて、その彼役が玉山鉄二さんってのも

ポイントでした。


ところどころでウルッとしてしまう場面も多数あり。

いじめられてる小学生の女の子のエピソードはかなりヤバかったです。


元のお話を知ってるので、新鮮さはありませんでしたが、ほぼ忠実なのがよくわかったので、

安心して楽しく観賞できました!!



さくさく読書日記-ポリティコン

桐野夏生作品。

暗くてドロドロしてそう・・・と、挫折覚悟で読み始めました。


大正時代に東北地方に芸術家達が創ったユートピア「唯腕村(いわんむら)」。

19973月、村の後継者・東一は、美少女マヤと出会った。

父親は失踪、母親は中国で行方不明になったマヤは、母親の恋人だった北田という

謎の人物の「娘」として、外国人妻とともにこの村に住みつくことになる。


絶対挫折するかと思ってて、貸本屋さんでとりあえず上巻だけ借りたのですが、

あっという間に読んでしまいました。

相変わらず、自分勝手な人たちにムカムカイライラさせられたり、さまざまな欲にうんざりしたり、

本当に気分的には暗くなるような本なんですが、でも、さすが桐野さん。

どんどん読み進めてしまいました。


物語は、東北のとある場所にある、「唯腕村」という村が舞台。

武者小路実篤が創った「新しき村」というのがありますが、それと同じようなシステムの村です。

個人資産は持たず、農業で得た収益をみんなで分配して暮らす・・・というシステム。

この唯腕村、一応、教科書なんかにも載る、由緒正しい村なのですが、今や若者は、

創設者の直系の東一しかいません。

年寄りが増え、労働力も乏しくなるという悩みを抱えていた唯腕村に、新たな住民が加わります。

偽装家族の彼らは、「北」の国に絡む様々な事情を抱えた人々。

その家族の母親・スオンと、娘・マヤの美貌と魅力が元で、村は大きく動き始めます。

なにせ、狭い世界。ある村人いわく、「みんな歳とって枯れた顔してるけどさ。

相関図書いたら真っ黒」な状況。

そして、唯一の若者東一は、本当にあらゆる欲の塊のような男。

常に自分のことしか考えてなくて、とても自分勝手。もう、東一のパートを読むたびに、

イライラ、ムカムカが止まりませんでした。

一見、平和でのどかに見える村も、男女の思惑がいろいろ絡み合い、ものすごくドロドロな

人間関係が見えてきて、ぐったりしてしまいました。

上下巻、あっという間に読めましたが、読後感は本当にぐったりという感じ。

桐野さんは、閉ざされた環境での人間関係のドロドロ感を描かせたら、右に出るものなしという感じですね。

「東京島」もすごかったけど、こちらのほうがエグいです。


というわけで、最後もなんだか私的にはスッキリしない終わり方なんですが、

上下巻、ドロドロな話を読了した満足感が爽快という感じです。

桐野さんの本、「もう、おなかいっぱい」っていつも思うのに、新作が出るとついつい手に取ってしまいます。