さくさく読書日記-残光

貸本屋さんにこの作家さんの本がけっこういっぱいあり、
久しぶりに新規の作家さんに挑戦しようと、
とりあえず映画化されたススキノ探偵シリーズを借りようと思ったら、
生憎借りられていて、ならば、これも面白いと貸本屋のお姉さんが
オススメしてくれた本。


北海道の山奥で人目を避けて暮らしている榊原健三は、

今でこそ孤独な芸術家として地元では知られているものの、

実は、凄腕の殺し屋として札幌のヤクザたちに恐れられていた過去を持つ。

ある日、札幌で起こった、たてこもり殺人事件のテレビ報道に、

かつての恋人の姿を発見した健三は、その女性の息子を救うために山を降りる決心をする・・・。



ハードボイルド全開のこの本、面白かったです。

というか、主人公がカッコよすぎて、ありえない。

イメージは高倉健さん。「幸せの黄色いハンカチ」あたりの頃の・・・。

寡黙で不器用で、でも、男らしくて、無敵。

どんなに危険な状況に陥っても冷静で、必ず敵をやっつけてしまうところもカッコよかった。

主人公は、その昔、凄腕の殺し屋として名を馳せた過去があるのですが、

今は北海道の山の中にこもって、木彫りの人形を製作して、それを売って生活してます。

山を降りるのは、その木彫りの人形を置かせてもらっているお土産屋さんに

納品に行くときぐらいなのですが、そのとき、偶然テレビに映る元恋人を見てしまいます。

それは、札幌で起きた、人質立てこもり事件のニュース。

元恋人に危機が及んでいると踏んだ主人公・健三は、彼女を助けるべく、

札幌に向かうことになります。

そして、彼女の子供が人質になり、無事に解放されるも、さらなる危機にが訪れていると知った

健三は、子供とともに逃亡することに・・・。


このお話、作者の代表作「ススキノ探偵シリーズ」の登場人物など、

脇役が読者にはとても面白いものらしい・・・私は、この本が初めてだったのですが、

それを知って、他の本も読んでみたくなり、今、「ススキノ探偵シリーズ」から読み漁っている最中です。

お話自体は、警察の汚職やヤクザとの癒着など、まぁ、こういう小説にはありがちな展開ですが、

なにしろ主人公がいい!!絶対、高倉健さんをイメージして書いたに違いないってくらい、

高倉健さんな感じです。


こちら、一応シリーズ化してるらしいのですが、他の本を読んでいなくても全然楽しめます。

期待しないで読み始めたので、思わずハマってしまった自分にびっくりしたくらい、

面白い本でした。


「ススキノ探偵シリーズ」の感想もまたUPします。

しばらくハマりそうです。





さくさく読書日記-緑の毒

貸本屋さんで借りました。

この人の本、読後感がすごく悪いものが多いのに、

新作を見かけると読まずにはいられない・・・。

今回は、もう、タイトルからしてなんだか毒々しい・・・。

覚悟して読みました。


39歳の開業医、川辺康之の趣味はビンテージスニーカーの収集。

妻のカオルも医者で、都内の病院に勤務している。

二人の間に子供はなく、カオルは同じ病院の医師と不倫をしている。

カオルが不倫相手と会う水曜日の夜、康之は嫉妬のため、

一人暮らしの女性を狙ってレイプ犯罪を繰り返す・・・。


あらすじ、簡単なようで難しい・・・。

とにかく、最低な鬼畜が主人公です。

ビンテージスニーカー収集が趣味の開業医川辺。

彼は、高級ブランドの服に身を包み、見た目さわやかなイケメン医師。

でも、裏の顔は連続レイプ犯。

妻のカオル(女医で美人らしい)が同じ勤務先の医師と不倫をしていることを

突き止め、二人のデート日である水曜の夜、嫉妬に身を焦がしながら、

一人暮らしの女性を狙ってレイプを繰り返しています。

この手口が本当に陰湿というか、最低!!

ねらいを定めた女性の部屋に忍び込み、熟睡している女性にスタンガンで

一撃を食らわし、さらに劇薬を使って昏睡させてレイプする・・・という・・・。

翌朝目覚めた女性は、自分が何をされたのか全然わからない・・・という感じ。

冒頭は、このレイプシーンや、被害者の状況などが濃密に描かれていて、

読み進まずにはいられなかったのですが、後半になるにつれて、

なんだか全体的にだれてくるし、わけのわからない登場人物多いし、

ちょっとイマイチではありました。

インターネットを通じて被害者同士が結託し、犯人を川辺康之だと断定し、

その川辺の崩壊・・・なんて感じになるのですが、桐野さんの作品にしては、

そんなに毒々しいものはなく、覚悟して読んだわりに、期待はずれではありました。


なんだか、レイプの手口がすごく強烈で、そこに衝撃を受けてしまいましたが、

この本で桐野さんは何を訴えたかったんだろう?というのがよくわからず、

嫌悪感しか生じないという感想です。

後味の悪さも覚悟したほどのものではなかったです。

なんていう割りに、一気読みしてしまったわけですが・・・。

中途半端な感想ですみません。

とにかく、イヤーな気持ちになるのは保証します!!



さくさく読書日記-モンガに散る

これまた、ヨシロー☆にオススメされた映画。
台湾映画ってあんまり見ないなー・・・と思いつつ、
友人ミヅエも台湾でお仕事してるし、国自体には興味があり・・・。
映画を見れば、台湾の街並みとか楽しめるかもと思ったのと、
ヤクザ的な映画というのに惹かれて・・・。


1980年代の台北一の繁華街・モンガは、商業地区として繁栄していたが、

その裏では多くの極道組織が縄張り争いを繰り広げ、抗争の絶えない街であった。

そんなある日、モンガに引っ越してきた高校生のモスキートは、転校初日に些細なことから、

クラスの不良グループに因縁をつけられる。

放課後、モスキートは待ち伏せしていた不良グループに追いかけられるが、その様子を偶然、

校内勢力を仕切っているドラゴンが目撃、たった一人で不良グループに対峙するモスキートを

気に入ったドラゴンは、彼を仲間に迎え入れる。

ドラゴンは、モンガで一番の権力を握る極道組織の親分の一人息子だった。

そんな極道の世界に戸惑いつつも、モスキートは生まれて初めて出来た友達と、

モンガの街でケンカに明け暮れる。

幼い頃から一目置かれているドラゴンと彼の幼馴染でキレ者の影のリーダー・モンク、

お調子者のアペイ、腕っ節の強い白ザル、そしてモスキートの5人は、義兄弟の契りを交わし、

固い絆で結ばれていく・・・。



先日の「十三人の刺客」といい、この映画といい、ヨシロー☆セレクト、すごいです。

いやー、面白かった、この映画。

前半は、高校生達の瑞々しい青春の映像が中心で、悪ガキたちの町中でのケンカシーンなど、

明るく描かれているのに対し、後半は、極道に染まった義兄弟5人の友情の崩壊など、

重苦しくて切ないタッチで描かれているのが印象的。

モンガというのは、台北一の繁華街で、日本で言うところの、歌舞伎町のような町らしいです。

狭い露地あり、原色の看板ありの猥雑な町ですが、その町の様子が、黄色や赤を使って、

魅力的な映像になっています。

そして、その露地を疾走しながらの派手なケンカのシーンは血なまぐさくはなく、

躍動感にワクワクしちゃう感じ。極道映画にありがちな、すぐに銃で殺してしまうというのではなく、

ちゃんと「ケンカ」するところがよかった。

男臭い映画の中で、唯一、主人公モスキートと、顔にアザがある娼婦との恋は、

エアサプライ(だったかな?)の曲を効果的に使ってお互いの純粋な想いをうまく表現してます。

でも、後半はもう、ハラハラし通し。大陸ヤクザの進出がモンガの極道社会にも影響を及ぼし、

義兄弟の契りを結んだ5人にも波乱が待ち受けることになります。

この映画は、1986年~1987年という時代設定なのですが、台湾では、1987年に戒厳令が解除され、

大陸からのさまざまな進出があったそうです。極道もしかり。

そんな時代背景を知って映画を見ると、より楽しめるのかもしれません。


ラストはそれはそれは切ない終わり方です。

でも、昭和ヤクザ映画好きな私は、「契り」とか、「任侠」とか、そういう、

最近の日本映画では忘れられているキーワードにビシビシ反応してしまいました。

ファッションも髪型も今見ると「ださっ」って感じですが、当時の日本のチンピラルックも

あんな感じだったなーとそこも懐かしかったり。



実はあまり期待してなかったので、思いのほか真剣に見て、

映画の長さも感じさせないくらい楽しめて、心に残る作品となりました。

若手俳優さんのイケメンぷりも話題のこの映画ですが、私は、大陸から進出してこようとするヤクザ役で、

この映画の監督さんでもある俳優さんがシブくてカッコよかったなーと思いました。


この場を借りて、ヨシロー☆、面白い映画を教えてくれてありがとう!!

またオススメあったら教えてね。