再現、復刻、アーカイヴ。
言葉ばかりが踊っていて、肝心の製品はお粗末なものばかり。
こういう製品がリリースされるとき必ず枕詞になるフレーズがある。
「忠実に復刻しながら、現代的な○○にアレンジした」。
要するに、「忠実にできないので、作り手の都合のいいようにした」のか、
「作り手の存在意義を示したいがために、自分の拙劣なセンスで仕上げた」のだろう。
いずれにしても、こういうのは必ずダメだ。当然、オリジナルには遠く及ばない。
それにしても、満足できる復刻品というものに出逢ったことがない。
復刻されるくらいのものだから、当然オリジナルはすばらしいモノなのだ。
それを再度製造しようというのだから、「現代」だの「デザイナーのセンス」だので仕上げる
ことに意味などあろうはずがない。
写真の「ロバート・ハイレット」の美しいこと。
世界で一番売れたスニーカー「スタン・スミス」の前身だ。
このモデルは何度もリメイクされているが、いまだにオリジナルの足元に及ぶものさえない。
朽ちた実物が現存しているにもかかわらず、細身のラスト(木型)さえ再現できていない。
怠慢か、無関心としか言いようがない。