私たちから保護ねこちゃんを迎え入れてくれたおうちのことを、密かに「ドッツファミリー」と呼んでいます。
この「DOTS FAMILY STORYシリーズ」では、これまでインスタグラムではご紹介しきれなかったドッツファミリーとの素敵なエピソードなどを投稿していけたらいいなと思います。
今日の主人公は「チコちゃん」!
ななほくんとの出会いから間もなく、地域猫活動を始めようと決心しました。
▶ななほくんのことはこちらのシリーズを見てね!
そして、「なごやかキャットサポーター」の登録を急いでいました。なぜなら、時を同じくして、とある民家の駐車場に、毎日のように今にも旅立ってしまいそうなほどやせ細った猫がいたからです。
「捕獲器を早く借りたい。」だから、登録を急いでいました。
すると、保健センターの職員から「保護目的なら、登録がなくても捕獲器は貸し出せますよ。」と教えていただき、早速貸し出してもらい持ち帰りました。
「あれだけガリガリなんだから、すぐに入るだろう。」
そんな私たちの目論見は甘く、来る日も来る日も入ってくれませんでした。衰弱しきっていて骨も浮き出ているのに、なんで入ってくれないんだろうと、ヤキモキしていました。
次第にしびれを切らした私たちは、作戦を変えます。
そう、再び「網」の登場です。
ななほくん捕獲劇のときに使ったものを再度使うことにしました。
成猫を網で保護するのは、全然勝手が違って、うまく網をかぶせたとしても、虫取り網が軽いのでわずかな隙間から逃げてしまったんです、それも2回も。
それを見かねた近所の人が、「これ使ったら?」と大きなネットの生地をくれました。そして、私たちはこれであるものを作りました。
開口部がDの形をした巨大虫取り網です。
まず、ミシンやら針やらを取り出してきて、奥行きが1m以上ある袋を作りました。次にアルミのハンガーを解体して、それを「D」の形にしました。2m近くある竹にそれをワイヤーなどで固定して、最後に巨大な網袋を縫いつけました。
なぜ、Dの形なのかと言うと、Oの形だと地面につけたときに接点が小さ過ぎて隙間がたくさんできるんです。そこから逃げられてしまったので、網を下ろしたときに、地面との隙間がなくなるように、Dの形にしました。
もういついなくなってしまうか分からないこの子を捕まえるのは、できるだけ早いほうがいい。そこにいて、全然逃げないんだから、網でやってしまおう。入るか入らないか分からない捕獲器には頼っていられない。そんな気持ちでした。
完成したその足で、現場に向かって、はやる気持ちを抑えながら、大人二人でシュミレーションを何度もして、実行しました。そして、見事成功しました。
保護ねこ名は「ミク」
美しい未来がきますようにという思いを込めました。
ただ、ここからが本当の奮闘となりました。
何週間も止まらない原因不明の下痢、目やにだと思っていたら、片方の眼は窪んでいて見えていない、そして全然人に馴れていない。
このまま死んでしまうのを見ていられないという思いで、無我夢中で保護したので、その後のことは全く何も考えていませんでした。
真夏に続く下痢、毎日トイレに逃げ込んでいたせいで、全身に下痢がついているけど、もちろんシャンプーなんてできない。五里霧中というか、暗中模索というか、八方塞がりというか、そんな日々でした。
人に馴れていないミクでしたが、人との関わりを拒む子ではありませんでした。今思い出すと、怯えていることも多かったので、きっとはじめてのことに困惑しているような感じだった気がします。
私たちのはじめての「人馴れトレーニング」は、この子なのですが、意外にもスムーズに行き、ミクもそれに応えるように応答的な関わりが増えていったように思います。
当時は、ネットの里親募集サイトが譲渡活動の中心だったので、他の子猫たちと同じように掲載も始めました。ただ、やはり子猫でもなくて、眼にハンディもある成猫だったので、閲覧回数さえ増えずにもうネットは無理だろうと思って、諦めました。
次に頼ったのは、保護団体でした。
あちこち情報収集をすると、所属会員以外でも譲渡会への参加を受け入れてくださっている団体があることを教えていただき、そこの譲渡会に「外部参加」という形で参加させていただけることになりました。
はじめての譲渡会参加の日、私たちは2匹の猫を連れていきました。一匹はミク、もう一匹は「クロカギくん」という黒の子猫です。
そして、なんとはじめての譲渡会で決まったんです、「クロカギくん」が。
今から思えば、それさえ奇跡的にいただけた出会いでしたが、私たちはこの経験で勘違いをし始めます。
「譲渡会は決まりやすい。」
きっとミクもすぐに決まるだろう、やっぱり対面のふれ合いがある譲渡会は強いんだ。そんなふうに考えていました。
団体さんのご厚意で、その後も何度も譲渡会に参加しましたが、ミクだけは決まりませんでした。
そのころにはミクも人との暮らしに馴れて、リビングで過ごしていましたし、落ち着いていて穏やかで、それなのに愛嬌があって、どこか子猫のままなところもあって、本当に可愛かったんですが、それなのに全然お声がかからなかったんです。
ネットもだめ、譲渡会もだめ。
きっとこのままこの子とは何年か一緒に、いやその先も一緒に暮らしていくのかもしれない。
と思っていたのは最初の数ヶ月で、私たちの気持ちにもだんだん変化が生まれました。
どんどん可愛くなってきて、横顔なんて子猫のまんまじゃん。眼のことなんて全く気にならないどころか、それがあっても他の子よりもずっと可愛い。ネットや譲渡会じゃ分かんないんだよ、ミクの良さは。
一時期あった焦りは消えていて、純粋にミクのことが可愛くなっていました。
そんなある日の夜、忘れかけていた里親募集サイトからメールが届きました。
そのときは、2匹の猫を掲載していました。成猫のミクと、まだ子猫だったせなです。
「新着メッセージがあります。里親の申し込みがありました。」の文字を確認すると、「せなに申し込みか。ついにせなちゃんも譲渡か。」と思いながら、メールを開封してみると、「募集情報:ミク の募集情報について、応募者からメッセージが届いています。」と書かれていました。
もう、それを見て飛び起きましたよ!
え、嘘でしょ!!と夜中に大絶叫!笑
▶次回に続く
ちょっと思いのほか長くなってしまったので、つづきは続編をお待ちください。
改めて思い出しながら書くと、意外に長くなってしまいますね。特に初期は私たちも何もかもがはじめてで、一つひとつが記憶に残っています。
私たちの記憶がまだあるうちに、ひとつでも多くのストーリーを書いていけたらいいなと思っています。