断崖絶壁で子猫を見つけて、ちいさな虫取り網をつかって噛まれながらも何とか保護にしました。

過去の投稿はこちら▶保護猫活動をはじめたきっかけ〈1〉「断崖絶壁に衰弱した子猫をみつける」

さて、ここからどうしたらいいのか。

 

「この子は迷子になったに違いない。」

 

こんなに小さな子が、一人でどうやってこんな崖っぷちに辿りついたんだろうという気持ちもそこそこに、どうしたらいいか分からずに、とりあえずスマホで検索しまくりました。で、当然のように「野良猫を保護したら、まずは動物病院を受診してください。」と、どこにでも書いてあり、わんちゃんたちがお世話になっている動物病院を受診しました。

 

次の課題は、「何に入れて動物病院へ連れていくか。」でした。

 

わんちゃんたちは、布製のキャリーバッグを使用していたので、さすがにそこに入ってもらうのは問題があったため、家中を探してあるものを押し入れから引きずり出してきました。それは、

 

大きめ虫かごです。

 

今のように段ボールという考えが全く思いつきませんでした。いや、思いついたのかもしれませんが、逃げられると思ったのかもしれません。安全に脱走のおそれがなく、動物病院まで連れていけて、ロックができるものとして、虫かごを使うことにしました。

 

その虫かごの底面にひざかけを入れて、その小さな白っぽい子猫に入ってもらう。

 

さっきものすごい力で噛んできた子がそんなことさせてくれるかなという不安をよそに、その子猫は囚われの身になったのを自覚したのか、安心感からか全く抵抗しませんでした。ただただ、右手に大きな咬傷が残っただけでした。

 

動物病院についても、ソワソワが止まりません。

 

受付で「子猫を保護したのですが、何をしたらいいか分らないんです。」と伝えると、「野良の子猫ちゃんを保護されたんですね、分かりました。順番にお呼びしますね。」と言われました。

 

わんちゃんと一緒に来るときには全く感じない緊張感と所在なさげの不安感で、なんだかあっと言う間に呼ばれた気がします。そして、担当の獣医師の開口一番の発言に衝撃が走りました。

 

「虫かご持ってたから何かと思ったよ。今度はねこちゃんを飼うの?」

 

今の今まで目先のことで頭も心もいっぱいで、そんな先のこと考えたこともなかったんです。

 

「いや、まだ分からないです。」と答えると、「周りにねこちゃん飼ってる人いる?この状態だと考えにくいけど、どこかのおうちの子かもしれないから、ご近所に確認してみるといいよ。」と言われ、頭の中は大渋滞でした。

 

そうか、迷子だったら探している人がいるかもしれないんだ、なんでそんなことくらい思いつかなかったんだろう、とすごく恥ずかし気持ちになりました。

 

「どちらにしても、このままだと死んじゃうから、基本的なことだけはしておきましょう。」と言われて、次から次へと説明を受けた上で、投薬やら点滴やら注射が始まりました。用紙をもらって説明を受けてはいたのですが、はじめて聞く言葉ばかり、はじめて見るカタカナ用語ばかりで、もう正直、獣医師が何を言っているのかさっぱり分かりませんでした。

 

それでも唯一その場で分かったのは、

「この子体中、ノミだらけだよ。こんなに小さいけど、何十匹もいると思う。」

「かなり痩せてるけど、3ヶ月くらいのオスです。」

 

この二つだけは分かりました。

 

あれこれ嵐のように診察は終わり、ほぼ記憶にないまま、お会計が始まりました。

 

診療明細書には  ○○(名字)+子猫ちゃん  と書かれてありました。

 

そうだった、名前がなかった。でも、一緒に暮らすかはまだ考えてないし、でも、ここは動物病院だから何か名前が必要なんだ。仮にでも呼ぶ名前があったほうがいいのかな。「子猫ちゃん」ってのも何だしな。

 

そんなことを考えながら、会計を済ませて、動物病院を後にして、自宅へと帰りました。

 

子猫も疲れただろうけど、こちらも疲れてしまったので、少し休憩してから子猫の居場所づくりと今後について考えることにしたので、とりあえずわんちゃんのゲージを借りて、子猫にはそこにいてもらうことにしました。

 

しかし、目を離した数分後に、子猫はゲージから姿を消しました。

 

▶つづく